DellおよびEMCジャパンは4月23日、米Dell Technologiesが3月12日(現地時間)に発表したデータ保護に関する最新グローバル調査結果「Global Data Protection Index 2020 Snapshot」を解説する記者説明会をオンラインで開催した。

「Global Data Protection Index」は、企業へのヒアリングを通じてデータ保護の現状と将来課題を明確化するための調査で、2年周期(第1回:2014年、第2回:2016年、第3回:2018年)で行われ、今回、初めての中間経過調査を実施した。

今回の調査は2019年下半期に世界15カ国、14業種にわたる従業員250人以上の組織のIT意思決定権者1,000人を対象に実施した。

2年周期で行われる調査では、世界18カ国、従業員250人以上の組織のIT意思決定権者2,200人に行われているため、今回の調査は規模が縮小されているほか、地域や国ごとの細かな数字はなく、グローバル平均のみが算出された。

  • 「Global Data Protection Index」の概要

まず、デジタルデータの量と価値については、データは1年前の調査よりも約40%増加(9.70PB→13.53PB)しており、質に関しては、微増だが収益化やビジネス価値へも影響が上昇傾向にあるという。

  • データ量と価値は上昇傾向

過去12カ月に経験した障害インシデントに関しては、予期せぬダウンタイム、データロス、サイバー攻撃やサイバーインシデントによるデータアクセス阻害が上昇し、データロス、サイバー攻撃によりデータアクセスできない事象が増えている。

  • 過去12カ月に経験した障害インシデント

ダウンタイムやデータロスの要因は、ハードウェア障害が今回、はじめて1位からランクダウンし、データ破損やソフトウェアエラーがそれよりも上位に位置づけられた。

  • ダウンタイムやデータロスの要因

EMCジャパン DPS事業本部 シニア・ビジネス・ディベロップメントマネージャー 西頼大樹氏

これについて、Dell Technologies(EMCジャパン) DPS事業本部 シニア・ビジネス・ディベロップメントマネージャー 西頼大樹氏は「IT環境がハードに依存しないHCIやパブリッククラウドが増えている状況があらわれている」と解説した。

また、過去12カ月にデータロスやダウンタイムを経験した企業の割合は、82%と前回より6%上昇しているほか、7割近い企業が向こう12カ月でデータロスやダウンタイムの更なる発生を懸念している。なお、将来に対する不安項目は、今回初めて追加された。

企業・組織がデータ保護の向上が必要と考えるクリティカルな領域において、企業・組織が現データ保護環境にて対応に「自信が無い」と回答した項目は、サイバー攻撃で失ってしまったときのデータ復旧、データロス発生時のデータ復旧、各国・地域のデータ統制法規 を準拠/遵守するために必要なデータ保護の実践、導入時に事前定義した バックアップや復旧サービスレベル規定の継続的な順守だという。

  • クリティカル領域でデータ保護環境にて対応に「自信が無い」と回答した項目

サイバー攻撃時のデータ復旧では、バックアップデータもオンライン上にあり、それらも破壊されるケースがある点や、バックアップデータが汚染されていないか確認する必要があるため、より難易度を上げているという。

データ保護環境の現状においては、複数ベンダーの製品を採用している企業が増え、全体の8割に達しているが、西頼氏は、複数ベンダーの場合は問題の切り分けが難しいほか、単一のほうが運用が可視化、簡素化でき、運用しやすいため、単一ベンダーが望ましいとした。

  • 現データ保護環境で採用しているベンダー数

  • 複数ベンダー採用の影響

ベンダー採用の重視点としては、クラウドネイティブ・アプリケーション(Hadoop/NoSQL/etc)のデータを保護する機能の提供やサイバー攻撃によるデータアクセス阻害やデータ損失からのデータ復旧を支援する機能の提供があるという。

調査では、クラウドネイティブアプリ、人工知能や機械学習、SaaS、5G、IoTなどの新興テクノロジーへの投資は積極的に行われている一方、これらのテクノロジーに対する適切なデータ保護ソリューションが見つけられていない企業が多っかたという。とくに日本では、AI・機械学習に対するニーズが高いという。

  • 新興テクノロジーとデータ保護の現状

  • 新興テクノロジーにおけるデータ保護の課題

今回の意識調査から見えてきた現状について西頼氏は、デジタルデータの「量」と「価値」は引き続き上昇傾向にあり、それに伴い障害インシデントによるインパクトも拡大傾向にある。データ保護環境、とりわけ構成ベンター数がインパクトのリスクコントロールにおいて、重要なポイントの1つとなってくるほか、新興アプリケーションに対する最適なソリューション提供が、今後のデータ保護市場におけるトレンドを左右すると考えられるとした。