宇部興産は4月22日、山口県宇部市にある宇部ケミカル工場内の医薬品工場にて、富士フイルム富山化学が開発した抗インフルエンザウイルス薬「アビガン錠」(一般名:ファビピラビル)の原薬主骨格を成す重要な中間体の製造および供給を開始することを発表した。

アビガンは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する効果が期待されており、増産体制の構築が進められており、原材料の確保の必要性が生じていた。すでにデンカやカネカもアビガンの増産向けに原料を供給する方針を打ち出しており、国内の安定供給に向けた増産体制が着実に構築されつつある。

同医薬品工場では2009年に一時的にアビガンの中間体を製造していたが、その後、生産を取りやめていたが、今回のアビガン増産に向けて、富士フイルム富山化学からの要請を受ける形で、既存の中間体製造設備を活用して製造することを決定したという。

宇部興産では、サプライチェーン各社と協力することで、早期のアビガン提供に貢献できるよう、緊急製造開始に向けて準備を進めていきたいとしており、7月からの稼働を目指すとしている。

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    アビガンの中間体などを製造する宇部興産医薬品工場 (出所:宇部興産Webサイト)