KDDIは4月22日、新型コロナウイルス感染症対策に活用してもらうことを目的に同日から7月31日までの期間、位置情報ビッグデータ分析ツール「KDDI Location Analyzer」を47都道府県および20の政令指定都市に無償提供すると発表した。これにより、対象自治体は緊急事態宣言前後の人口滞在の推移や、性別・年齢層や居住者などの動向把握ができ、今後の自治体施策などへの活用が可能になる。

同ツールは、同社と技研商事インターナショナルが共同で開発したauスマートフォンユーザーの位置情報ビッグデータと属性(性別・年齢層)を活用し、企業・社会課題の解決を支援する。

  • 「KDDI Location Analyzer」の来訪者属性分析イメージ

    「KDDI Location Analyzer」の来訪者属性分析イメージ

最小10m単位、最短2分単位で位置情報を収集し、道路単位の通行量、店舗の施設来訪者数など、細かい粒度での分析が可能。スマートフォン契約時の本人確認情報に基づく性年代別の属性の収録に加え、位置情報に基づく居住地・勤務地情報も収録しているため、居住者・勤務者別の集計も可能なほか、特定の施設に来訪した方の居住地を町丁目、市区町村単位で集計することができるという。

  • 「KDDI Location Analyzer」の居住地分布イメージ

    「KDDI Location Analyzer」の居住地分布イメージ

同社では新宿駅(東京都)周辺と梅田駅(大阪市)周辺を分析事例(Location Analyzerの結果を加工したものであり、この事例がLocation Analyzer上に表示されるものではない)として紹介している。

新宿駅周辺では、緊急事態宣言発令前の平日(4月1日~4月2日)と、緊急事態宣言発令後の平日(4月8日~4月9日)を比較対象とした。

結果として緊急事態宣言発令後、新宿駅周辺の来訪者(分析地点周辺に来た人)は減少し、性別では女性の方が減少しており、年代別では20代が最も減少し、居住(分析地点から1km圏に推定居住地のある人)・勤務(分析地点から1km圏に推定勤務地のある人)・来街者(居住者でも勤務者でもない人)別では、来街者が最も減少した。

  • 新宿駅周辺の性別、年代別、居住・勤務・来街者別のグラフ

    新宿駅周辺の性別、年代別、居住・勤務・来街者別のグラフ

一方、梅田駅周辺では緊急事態宣言発令前の休日(4月4日~4月5日)と、緊急事態宣言発令後の休日(4月11日~4月12日)を比較対象とした。結果的には、緊急事態宣言発令後の梅田駅周辺の来訪者は、大阪府を除くと兵庫県・京都府・奈良県などの近接地域が多いことが分かったという。

  • 左から来訪者増減比、緊急事態宣言後の府外来訪者ランキング

    左から来訪者増減比、緊急事態宣言後の府外来訪者ランキング