JFEスチールは1月30日、国内の製鉄所の燃料・電力運用における省エネルギー・CO2削減、コスト最小化を目的にオペレータによる運用を支援するガイダンスシステムを開発し、運用を開始した。すでに西日本製鉄所(倉敷地区、福山地区)に導入し、運用効果を確認しており、今後は他事業所への導入を進め、省エネルギー・CO2削減を実現していく考えだ。

同システムは、同社が活用しているサイバーフィジカルシステム(CPS:フィジカル空間の莫大なセンサ情報=ビッグデータをサイバー空間に集約し、これを各種手法で解析した結果をフィジカル空間にリアルタイムにフィードバックすることで価値を創出するシステム)の概念を体現しているという。

製鉄プロセスにおいては多くのエネルギーを必要とすることから、省エネルギー・CO2削減やコスト競争力向上の観点から、使用する燃料・電力の運用を最適化することが重要な課題となっており、製鉄所では高炉、コークス炉、転炉といった上工程で発生する副生ガス、発電設備などのエネルギー変換設備や廃熱回収で得られる電力・蒸気が所内の工場で有効利用されている。

そして、所内の燃料、電力需要に対する供給不足分は外部からの購入で補っている。燃料・電力の運用にあたり、オペレータが需給状況、発電設備の稼働状況、電力会社やガス会社との契約情報などのデータに基づき、コストやエネルギー損失が極力少なくなるように、各プロセスへの副生ガス配分、電力購入量、燃料(重油、都市ガスなど)購入量、副生ガス貯蔵量など、さまざまな要素を決定することが求められているという。

  • 製鉄所のエネルギーフロー

    製鉄所のエネルギーフロー

今回、開発したシステムではCPSの概念に基づき、リアルタイムに得られる膨大な測定データ(①)と各工場の詳細な生産計画を使用し、予測対象の物理的現象をモデル化して需給予測計算を行うことで、現時点から将来にわたる需給状況を高精度に予測するという(②)。

その後、各種の製鉄所内発電設備等の操業制約、特性、契約情報を考慮した上で(③)、外部からの購入量が最小となる最適な運用条件を燃料・電力シミュレーションで求め(④)、その結果をオペレータにガイダンスするものとなる(⑤)。

  • ガイダンスシステムの概要

    ガイダンスシステムの概要

これまでは、現在時点のガス需給状況と日毎生産計画を前提に運用していたが、同システムの導入でリアルタイムの測定データと生産計画を用いて高精度な燃料・電力需給予測に基づいた副生ガス貯蔵、払出の適切な需給調整が可能となり、都市ガス、電力の購入量の最適化が可能だという。

従来のオペレータの経験や能力に基づく運用に対して、さらに効率的な運用ができるようになり、省エネルギー・CO2削減、燃料・電力コストの低減を実現している。

今後も2017年に立ち上げたデータサイエンスプロジェクト部や、昨年に新設したサイバーフィジカルシステム研究開発部を核に経営主導による統合的・系統的な取り組みを進めるとともに、CPSに基づく開発を積極的に推進していくことで、さらなる省エネルギー・CO2削減、コスト競争力向上に取り組む考えだ。