パリミキやメガネの三城を展開する三城ホールディングスとイスラエルShamir Optical Industryは1月29日、2020年2月10日より遠近両用レンズ/単焦点レンズの翌日納品を可能とする新サービス「24G(トゥエンティー・フォー・ジー)」を開始することを発表した。

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従来、国内市場向け遠近両用メガネの制作はコスト低減と大量生産を目的に東南アジアを中心に海外で行われており、結果として納品までに1週間以上の時間が必要となっていた。24Gは、国内での完全受注生産にこだわり、メイドインジャパンの繊細さと高品質にこだわる三城と高性能レンズ技術を有するShamirが1年以上議論を交わし、技術的に可能であるとの結論を得て、翌日納品という形態を実現したという。

Shamirは、自社ブランドとして「InoTime」と呼ぶ24時間での納品サービスをグローバルで展開しているが、24Gは三城の有する独自技術も含む別サービスという位置づけとなる。

この翌日納品を実現する拠点となるのが、Shamirが東京・葛西に2020年2月に開設する「シャミールジャパン TOKYO」。150m2の広さに、少量生産向けに高品質なレンズ工作が可能な独サティスローの工作機械を導入し、1人あたりのレンズの加工完了までに最短で2時間、フレーム枠入れ完了まで3時間というスピードを実現した。

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    「シャミールジャパン TOKYO」の3つの特徴

また、品質へのこだわりとして、レンズ研磨の際の固定用治具も、一般的な合金製の治具でレンズ中心部を抑えるのではなく、植物由来成分の接着シートでレンズ全面を固定することで、研磨の際のブレを最小化して高精度化を実現したほか、反射防止用のコーティングもレンズをスピンさせてコート液を注入し、遠心力でレンズ面に張り付けることで、液だれを抑え、均一コーティングを可能とするハードコートマシンを活用することで、1回あたり最大4枚のレンズ加工で、通常5時間かかるところを10分で完了できるようにしたとする。

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  • 高精度な加工機を活用することで、短時間で高品質なレンズ加工を実現したという

さらに、ブルーライトカットやHEVカット、偏光、ミラーなどのオプションニーズにも対応可能なほか、フリーフォームマシンの活用により、スポーツ用のハイカーブレンズへの対応も可能だという。

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    さまざまなオプションも提供される

ちなみに、シャミールジャパンTOKYOは1日8時間稼働でスタート。この時間内で最大120組の加工を行うことが可能であるとの計算だが、もし反響が大きく、想定以上の受注が生じた場合は、装置の稼働時間を延ばしたり、新たな拠点の設置といったことも検討していくとしている。

なお、レンズ価格は単焦点レンズが3万円から(税別、2枚1組)、遠近両用レンズが4万円から(同)となっている。サービス開始の2020年2月10日時点では、パリミキの東京都内指定店舗36店舗ならびに、金鳳堂(京橋本店ならびに首都圏百貨店メガネサロン13店舗)が対応。同3月からパリミキの神奈川、埼玉、千葉の各店舗に対応店を拡大させ、同4月より全国展開を進める計画としており、初年度4億円、5年後には10億円の売り上げを目指すとしている。

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    24Gの価格予定表

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    2020年2月10日のサービス開始時の対応店舗リスト (出所:パリミキWebサイト)

三城ホールディングス代表取締役社長の澤田将広氏は、「30年前にも遠近両用メガネの翌日提供サービスを行おうと2店舗でレンズラボを併設する形で実験を行ったことがある。実はその実験店舗を担当していたのだが、当時はコーティングなどに技術的な課題があり、思うような成果を上げられず、悔しい思いをした。やっと技術が進歩し、世界最高クラスの品質のレンズを短期間で製作することができるようになり、パリミキとして不自由をおかけしてきたお客様に、その不自由を解決できるソリューションを提供できるようになった」と、今回のサービスが同社、そして同氏自身の長年の悲願でもあったことを説明。ShamirのCEOであるYagen Moshe氏も「我々2社ともにお客様に最高品質のメガネを届けることを目指してきた。世界でも最高の品質が求められる日本市場はShamirにとっても重要な市場の1つという認識。高齢化を背景に、遠近両用レンズの、特に高品質かつ高デザイン性のものに対するニーズは今後増えていくという意味でも日本は高いポテンシャルを有しているし、品質に対する理解度も高い。パリミキの担当チームと協力していくことで、このサービスが日本中に広がっていくと信じている」とし、2020年中にShamirとしての独自技術をいくつか発表していく予定であることも明らかにした。

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    握手を交わす三城ホールディングスの澤田将広 代表取締役社長(左)と、ShamirのYagen Moshe CEO(右)

また澤田氏は、「三城としては、一人ひとりのお客様のニーズに合わせることをコンセプトとしている企業。すべてのお客様を24Gで、という考えはない。お客様のライフスタイルにおいて、時間をかけたくない人というのが第一のターゲットとなってくる。また、スポーツフレームに度付きでミラーコートも遠近両用も対応し、しかも翌日納品というような24Gにしかない機能を持った商品もある。そういった方々をコンサルティングしながら、商品やサービスを選んでもらっていくことが重要になる。24Gは単なるサービスという意味合いだけではなく、新しい市場を生み出す可能性を秘めていると感じている」と、事業の拡大に対する手応えも述べており、アンバサダーにお笑い芸人のダンディ坂野さんを起用するなど、広くアピールしていくとしている。

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