人類最後の日までの残り時間を概念的に示す「終末時計」の時刻は「終末」まで残り「100秒」になったと、米誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ」がこのほど発表した。核をめぐる世界の近況と地球温暖化の脅威が深刻になっていることなどが理由で1947年の開始以来、最も残り時間が短くなり、状況は最悪となった。

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    2020年の「終末時計」の時刻を発表する米誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ」の関係者(ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ提供)

昨年と一昨年はいずれも「2分」で、米国と旧ソ連が冷戦下で核開発を激化していた1953年と並んでいた。今年はさらに針が進み、こうした状況よりも危機的になったと判断された。

同誌によると、地球温暖化をめぐる状況については、温暖化が世界で顕在化し、危機感を訴える若者の活動が活発になっていることを評価したが、「パリ協定」で参加各国が温室効果ガス排出量を減らすことを約束してはいるものの、具体的な行動は足りていないと判断した。また核をめぐる状況については、米国とロシアとの間の中距離核戦力(INF)全廃条約が昨年8月に失効したことや、米国と緊張状態にあるイランがウラン濃縮を進めたことのほか、北朝鮮の核問題も未解決、などと判断したという。

米誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ」は、原爆を開発した「マンハッタン計画」に参加した米シカゴ大学の研究者らにより1945年に創刊された伝統ある科学誌。「終末時計」は、人類が滅亡する人類最後の日を午前0時とし、同誌の表紙に象徴的に示す形で第二次世界大戦2年後の1947年から不定期に発表されてきた。「終末時計」自体は概念的なものだが、米イリノイ州のシカゴ大学にオブジェがある。時刻の決定はノーベル賞受賞学者を含む科学者で構成される委員会で決まる。1947年の初回は「残り7分」だった。

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