「2019国際ロボット展」(iREX2019)では、工場で働く産業用ロボットや、施設向けのサービスロボットのように、B2Bのロボットの展示が多いのだが、中にはコンシューマ向けの製品もある。本記事では、一般の人が買える製品について注目してみたい。

変形機能を実現しながら低価格

中国・深センのロボットメーカーであるRobosenが出展していたのは、2足歩行ロボットの「T9」だ。大きな特徴は、まるでロボットアニメのように、ヒト型と自動車型の変形が可能なこと。22軸の自由度を持つ本格的なロボットながら、500ドル程度という低価格を実現し、日本でも2~3カ月後に発売する予定だという。

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    Robosenの「T9」。この2足歩行ロボットがなんと……

  • Robosen

    自動で自動車型に変形する。自動車型では走行も可能だ

T9の身長は265mm、重量は1.48kg。ヒト型のときは2足歩行が可能で、前後左右への移動や旋回を行うことができる。自動車型のときは車輪で駆動し、前後進のほか、左右に曲がることも可能だ。ヒト型と自動車型の変形は自動で行われ、人間が手伝う必要はない。バッテリは7.4V/2,000mAhを搭載する。

【動画】変形ロボット「T9」のデモ。2足歩行のほか、音で「攻撃」も可能

ダンスや腕立て伏せなど、プリセットのモーションを再生できるほか、PCやスマホ/タブレットから、オリジナルのモーションを作成することも可能。ポーズを順番に指定して動かす「マニュアルプログラミング」と、Scratch風のブロックを並べる「ビジュアルプログラミング」にも対応するとのこと。

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    マニュアルプログラミングの例。ポーズを指定して並べていく

方眼紙にグラフを描くロボット

ヴイストンのブースで面白かったのは、2輪型ロボットの「ナノローバー」だ。これは、方眼紙にグラフを描けるというロボットだ。小型ながら、高精度なエンコーダを搭載しており、走行中も現在位置を正確に制御。描画用のペンは、搭載部に上下する仕組みがあり、スタート地点まで移動してから線を書き始められる。

  • ナノローバー

    ヴイストンの「ナノローバー」。手のひらサイズの小型ロボットだ

  • ナノローバー

    市販のペンを搭載可能。書かないときはペンを上げて移動できる

数式を入力するだけでグラフが描ける専用ソフト「nanoRoverMath」が付属。またArduino IDEにも対応しており、オリジナルのプログラムで制御することも可能だ。そのほか無線LANやBluetooth経由でPCから制御することもでき、そのためのサンプルプログラムが付属している。価格は44,000円で、現在発売中だ。

  • ナノローバー

    「nanoRoverMath」の画面。2次関数のグラフを描かせるようだ

  • ナノローバー

    綺麗に2次関数の曲線が描けている。様々なグラフに対応可能だ

「ナノローバー」のデモ。ロボットが移動しながらグラフを描くのが面白い

韓国版KHR-3HV(?)が参考出品

近藤科学は、ホビーロボット向けの新型サーボモーター「KRS-5000」シリーズを出展していた。ベストセラーモデル・4000シリーズの後継機種となるもので、ケースサイズはそのままに、トルクを大幅に強化した(41.7→58.6kgf・cm)。トルクタイプやスピードタイプなど、合計5種類をラインナップし、新たな定番となりそうだ。

近藤科学の「KRS-5000」。重量も増えたものの、トルクが向上した,A@近藤科学|

そのほか、出力軸の形状も変更。従来はセレーション(歯車)だったが、5000シリーズではIカット型を採用。出力軸の径を太くすることで、破断に対する耐久性が1.8倍も向上したという。

  • 近藤科学

    5000シリーズを搭載したサンプルロボット。動作はしていなかった

同社のブースで気になったのは、参考出品されていた白いロボット。これは韓国の代理店が作成したもので、同社の2足歩行ロボット「KHR-3HV」と同じサーボモーター「KRS-2552」を使っている。バッテリと制御基板をボディに内蔵しており、KHR-3HVのようなバックパックが無く、非常にスッキリとしたデザインとなっていた。

  • 近藤科学

    参考出品のロボット。白い外装は3Dプリンタで作成しているという

  • 近藤科学

    バックパックが無いので、背中はスッキリ。軸構成はKHR-3HVに近い

身長は411mm、重量は1.8kg。自由度は標準で16軸だが、サーボを追加して23軸まで増やすことが可能だ。まだ参考出品であり、製品化に関しては未定なものの、代理店のスタッフによれば、「日本でも発売したい」とのこと。KHR-3HVの兄弟機とも言え、発売を期待したいところだ。