富士通は12月10日、小樽観光協会など北海道内の複数の観光協会や企業と共同で、北海道後志地方の小樽市、余市町、倶知安町、岩内町、ニセコ町、積丹町、神恵内村、および札幌駅周辺、新千歳空港内の3市6町村において、同社製Wi-Fiパケットセンサを活用し、観光客など人の流れを可視化・分析する実証実験を開始した。

北海道後志地方は、札幌駅や新千歳空港からのアクセスが良く、人気の観光地が複数あるため、観光客数が年々増加しており、後志地方の小樽市、余市町、倶知安町、岩内町、ニセコ町、積丹町、神恵内村における2018年度の観光客数は合計約1383万人(「平成30年度北海道観光入込客数調査報告書」より)に達するという。

一方で、各地点の観光客の移動ルートや滞在時間などを詳細に把握し、多様化する観光客のニーズや嗜好を踏まえた、より効果的な観光施策や事業立案、またそれらの効果検証が課題になっている。同社は、これらの課題を解決するため、小樽観光協会をはじめとした複数の北海道内の観光協会や企業と共同で、3市6町村における観光客などの人の流れを可視化し分析する実証実験を行う。

実証期間は2020年3月10日までを予定し、北海道後志地方、札幌駅周辺、新千歳空港内の各エリアの観光施設や商店街、駅構内、バスターミナルの交通拠点など、観光客が集まる場所にWi-Fiパケットセンサを計40台設置。各エリアを訪れる観光客などが所有するスマートフォンをはじめとした通信機器から発する固有IDのみをリアルタイムにセンサで収集する。収集するスマートフォンなどからのWi-Fiパケットには通信内容や個人を特定する情報は含まれないが、計測に際してはプライバシーポリシーを策定し、収集データを匿名化した上で実施。

  • Wi-Fiパケットセンサー設置エリア

    Wi-Fiパケットセンサー設置エリア

  • Wi-Fiパケットセンサ

    Wi-Fiパケットセンサ

また、センサごとに収集した固有IDをグラフ化し、人の流動状況を15分ごとに可視化。複数のセンサで収集した固有IDをクロス集計することにより、各時間帯の人の流れを流動量とともに可視化し、データを分析することで、各地域の観光施策や各種事業の効果検証などに活用する。

共同実証者は、小樽観光協会(幹事)、富士通(幹事)、余市観光協会、ニセコプロモーションボード、岩内観光協会、積丹観光協会、神恵内村観光協会、後援団体は北海道後志総合振興局、北海道観光振興機構、協力団体・企業は経済産業省北海道経済産業局、小樽市、余市町、岩内町、積丹町、神恵内村、キットブルー、新千歳空港ターミナルビルディング、北海道中央バス、北海道旅客鉄道小樽地区駅(小樽駅・南小樽駅・余市駅)。

小樽観光協会などの実証協力団体および企業は収集データをもとに、観光客などの人の数や流れ、混雑状況、移動ルートなどを分析することで、今後の観光施策や各種事業の効果検証などに活用していく予定だという。