NECは11月21日、独自の音響定位技術やAR(拡張現実)技術を活用し、観光地や各種施設において専用イヤホンやスマートフォンを通じてリアルとバーチャルを融合させた空間を演出する「空間音響MR(Mixed Reality)」サービスを実現するためのプラットフォームを構築したと発表した。今後、同サービス事業を促進するコンソーシアムを今年度中に立ち上げ、同時にプラットフォームの提供開始を予定している。

空間音響MRは、顔の向きや移動方向に関係なく音源を空間に仮想的に固定する同社の音響定位技術を用いており、顔の向きを変えても一定の方向から音が聞こえるため、周囲のモノから実際に語り掛けられているような体験を提供することを可能としている。

また、仮想的なエリアの境界を作るジオフェンスの技術を利用して、利用者の位置情報に基づいて音声コンテンツの起動タイミングを制御し、AR映像を組み合わせることで、現実世界の風景とバーチャル空間が融合した新たな体験を実現するという。

具体的なサービスの例として、アニメやドラマなどのモデルになった地域で、来訪者があたかもその架空の世界にいるような演出をして集客を促進することによる地域活性化や、動物園の動物や文化遺産・史跡などを擬人化して人に話しかけることでエンターテインメントと情報提供を同時に実現し新たな付加価値を提供するなど、さまざまな活用方法を想定。

今回、提供を開始するプラットフォームでは空間音響MRサービスを提供する上で必要なジオフェンス設定、音響の空間定位、音声・映像コンテンツとのマッピングなどをWebブラウザー上でGUIにて実現し、観光地や各種施設・団体などへ空間音響MRサービスを提案する事業パートナーに向けて提供する。

今後、空間音響MRサービス事業を促進するため、現在事業パートナーであるコアミックス、ル・スポール、そのほか数社とコンソーシアムを立ち上げ、空間音響MRの認知向上と、事業パートナーの拡大を図る。