11月18日(米国時間)、スーパーコンピュータ(スパコン)の処理性能ランキングである「TOP500」の2019年11月版が発表された。
54回目の発表となる今回は、米国オークリッジ国立研究所(ORNL)に設置され、2018年6月より稼動を開始したIBM製AIスーパーコンピュータ(スパコン)「Summit」が前回同様のLINPACKベンチマークスコア148.600PFlops(消費電力10.1MW)で4期連続トップを獲得した。
2位はローレンスリバモア国立研究所(LLNL)の「Sierra」で、こちらも前回同様の94.640PFlops(7.4MW)で3期連続の米国勢の1、2フィニッシュを飾った。3位は2016年6月版から2017年11月版までの4期連続1位の中国National Research Center of Parallel Computer Engineering & Technology(NRCPC)が開発し、National Supercomputing Center(Wuxi)に設置されているスパコン「Sunway TaihuLight(神威・太湖之光)」で、LINPACKベンチマーク93.014PFlops/s(消費電力15.3MW)。4位も同じく中国National Super Computer Center in Guangzhouによる「Tianhe-2A」で、LINPACKのベンチマーク61.445PFlops(消費電力18.5MW)、5位も米テキサス大学オースティン校のTexas Advanced Computing Center(TACC)が開発・構築を行い、同センターに設置され、2019年より稼動を開始した「Frontera」がベンチマークスコア23.516PFlopsといずれも前回と順位、性能ともに変わらず。
6位以降も、6位がスイスSwiss National Supercomputing Centre(CSCS)の「Piz Daint」(21.230PFlops、2.4MW)、7位が米ロスアラモス国立研究所(LANL)とサンディア国立研究所(SNL)の「Trinity」(20.159PFlops、7.6MW)、8位が日本の産業技術総合研究所(産総研)の「人工知能処理向け大規模・省電力クラウド基盤(ABCI:AI Bridging Cloud Infrastructure)」(19.880PFlops、1.6MW)、9位が独ライプニッツ研究センター(LRZ)に設置されたLenovo製スパコン「SuperMUC-NG」(19.477PFlops)、10位が米LLNLの「Lassen」(18.200PFlops)と、いずれも前回と順位、性能ともに変わらず、上位10システムにまったく動きのない結果となった。
なお、日本の主なスパコンシステムの順位は、8位のABCIのほか、15位に東京大学(東大)-筑波大学の共同運用スパコンで、東大の柏キャンパスの最先端共同HPC基盤施設(JCAHPC:Joint Center for Advanced High Performance Computing)に設置されている「Oakforest-PACS」(13.555PFlops/2.7MW。前回16位)、23位に東京工業大学の「TSUBAME3.0」(8.125PFlops/0.8MW。前回25位)、33位および34位に気象庁のスパコン(5.730PFlops/1.4MW。前回32位、33位)、45位に九州大学のスパコンシステム「ITO」(4.541PFlops。前回41位)、50位に東京大学の「Oakbridge-CX」(4.290PFlops/0.8MW。前回45位)、51位に匿名の研究機関のスパコン(4.128PFlops。前回46位)、58位にさくらインターネットのスパコン(3.712PFlops。前回54位)、72位に宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「SORA-MA」(3.157PFlops/1.7MW。前回66位)、77位に京都大学の「Camphor 2」(3.057PFlops/0.8MW。前回70位)、84位に名古屋大学のスパコン(2.910PFlops/1.4MW。前回75位)、89位に量子科学技術研究開発機構(QST) 国際核融合エネルギー研究センターの「JFRS-2」(2.787PFlops/0.7MW。前回80位)、90位に東京工業大学の「TSUBAME 2.5」(2.785PFlops/1.4MW。前回81位)となっており、前回20位に入っていた理化学研究所の「京コンピュータ」が退役のため、リストから漏れている。