アクロニス・ジャパンは10月29日、本社であるシンガポールからCEOのSerguei Beloussov(セルゲイ・ベロウゾフ)氏を迎え、事業戦略を説明した。

同社は、米国フロリダ州マイアミで10月13日から16日まで「Acronis Global Cyber Summit」というプライベートイベントを開催し、その場において、新規のデータ保護ソリューション「Acronis Cyber Protect」、「Acronis Cyber Platform」、「Acronis Cyber Infrastructure」を発表した。

  • マイアミで発表された新規のデータ保護ソリューション

Acronis Cyber Protectは、バックアップ、災害復旧、マルウェア対策としてのAIベースの保護機能、データ真正性の認定と検証、脆弱性評価、修正プログラム管理、リモート監視機能、これらの7つのデータ保護機能をひとつにした統合ソリューション。

同サービスには、アプリが使うフォルダに関して逐次バックする機能、デバイスを検出し、リモートからプッシュでエージェントをインストールする機能、パッチ適用状況を表示し、プッシュでインストールする機能、ハードディスクの状態診断(故障予知)、フェイルオーバー、バックアップの脆弱性の検知機能などを提供するという。

  • Acronis Cyber Protectのダッシュボード。Acronis Cyber Protectは近々ベータ版がリリースされるという

Acronis Cyber Platformは、オープンAPIで開発者とISVを対象にAcronis Cyber Protectionソリューションをカスタマイズ、拡張、統合する機能を提供。

  • Acronis Cyber Platform

Acronis Cyber Infrastructureは、ソフトウェア定義のコンピューティング、ネットワーク、エッジ向けのストレージをプロテクションに特化して提供。パートナーのデータセンターでも運用できるという。

  • Acronis Cyber Infrastructure

アクロニス・ジャパン 代表取締役 嘉規邦伸氏は、「Acronis Cyber Platform、Acronis Cyber Infrastructureの上でそれぞれのサービスが動く、統合プラットフォームだ。データセンターの外にあるエッジデバイス、クライアントなどを、これまでデータセンターに加えて管理していく。データセンターの外にもエージェントを入れることで、IT管理者がいないような企業でもセキュリティをコントロールできるようになる」と説明した。

  • アクロニス・ジャパン 代表取締役 嘉規邦伸氏

Serguei CEOは、このような統合プラットフォームが必要な理由を次のように説明した。

「世界はデジタルデータを利用しているが、複雑で、3つの課題を抱えている。1つは多くデバイスがあり管理が煩雑だ。2つ目はサイバー攻撃対策のためのセキュリティ。3つ目は、データやデバイスの増大による管理コストだ。われわれのコンセプトは5つのベクトルでまとめている。それは、安全性(Safety)、アクセシビリティ(Accessibility)、プライバシー(Privacy)、真正性(Authenticity)、セキュリティ(Security)で、『SAPAS』と呼んでいる。サイバーセキュリティは、企業にとって空気や水と同じように必須なものだ。それを1つで保護しようというのが、われわれの戦略だ。重要なのは統合だ。統合というのはSAPASを統合し、シングルエージェント化していくことだ。1つのパッケージ、1つのUI、1つのポリシー、1つの製品であるといういうことだ。これには、複数のパーツが互いにメリットを享受できるように統合されていることが必要だ。われわれをそれをイノベーションを通して達成していく」

  • Acronis CEO Serguei Beloussov(セルゲイ・ベロウゾフ)氏

  • 『SAPAS』

また、同社は今回の新ソリューションの提供に合わせ、国内で新たなパートナープログラムを提供開始した。新パートナープログラムでは、「Acronis Cyber Protect」、「Acronis Cyber Platform」、「Acronis Cyber Infrastructure」をパートナーが自社ブンラドで提供することや、再販が行えるという。

また、パートナーがセキュリテサービスを提供するためのサポートサービス「Acronis Cyber Service」も提供。セキュリティの評価やトレ-ニング、コンサルティングなどを提供し、AI/機械学習、ブロックチェーンなどの機能も利用できるという。

  • Acronis Cyber Service

嘉規氏は、「サービスはアクロニスのデータセンターで提供し、バックアップ先をパートナーさんのデータセンターにすることや、両方をパートナーさんのデータセンターで動かすことも可能だ。新たなクラウドパートナープログラムにより、Acronis Cyber Cloudをパートナーのブランドで提供することもできる。また、Acronisサービスの再販も簡単にできる。今後アクロニスは、バックアップソリューションだけでなく、データセンターの外の保護ソリューションのベンダーとしても展開していきたい」とし、7月に目標と掲げた2021年度にパートナーの数を10倍の500社を実現したいと語った。