米オラクルは10月15日(現地時間)、調査会社の米Future Workplaceと共同で実施した「職場におけるAI(人工知能)」に関する2回目の年次調査を公開した。これによると、人々はマネージャーよりもロボットに信頼を置いているという。

同調査は7月2日から8月9日にかけて、オンラインで実施した。

対象は米国、英国、フランス、中国、インド、オーストラリア/ニュージーランド、シンガポール、UAE、ブラジル、日本の10カ国(6言語)における、18歳から74歳までの正社員の計8370人であり、役職は人事リーダー、マネージャー、従業員。

これによると、AIが仕事に及ぼす影響に対する一般的な警戒心とは対照的に、職場でAIの採用が増加しているといい、多くの回答者がAIを好意的に受け止め歓迎しているという。

職場で何らかの形でAIを利用していると回答した従業員は、2018年の調査では32%に過ぎなかったが、今回の調査は50%となり、AIが存在感を高めていると同社は見ている。

中国(77%)とインド(78%)の従業員は、フランス(32%)や日本(29%)の従業員の2倍以上AIを受け入れているとのこと。

全体の過半数となる65%の従業員は、ロボットの同僚がいることについて楽観的であり、それを喜び、歓迎しているという。

また約4分の1は、職場でのAIとの関係を、愛情にあふれた満足のいくものであると回答している。

AIを最も喜んでいるのはインド(60%)と中国(56%)の従業員であり、UAE(44%)、シンガポール(41%)、ブラジル(32%)、オーストラリア/ニュージーランド(26%)、日本(25%)、米国(22%)、英国(20%)、フランス(8%)の順となった。

職場におけるAIに対して男性は女性よりも肯定的であり、楽観的であるという回答は男性の32%に対して女性は23%だった。

職場でのAIの浸透は、従業員とマネージャーとの接し方に大きく影響しており、人事チームとマネージャーの従来の役割は変化しているという。

回答者の64%の人々がマネージャーよりもロボットを信頼し、半数はマネージャーよりもロボットにアドバイスを求めるとのこと。

マネージャーよりもロボットを信頼しているのは、インド(89%)と中国(88%)の従業員であり、シンガポール(83%)、ブラジル(78%)、日本(76%)、UAE(74%)、オーストラリア/ニュージーランド(58%)、米国(57%)、フランス(56%)、英国(54%)と続く。

男女で見ると、男性(56%)は、女性(44%)以上にマネージャーよりもAIを信頼しているという。

また回答者の82%は、マネージャーよりもロボットのほうが物事をうまくこなすと考えている。

ロボットはマネージャーよりも何が優れているのかを質問したところ、偏見の無い情報の提供(26%)、作業スケジュールの維持(34%)、問題解決(29%)、予算管理(26%)との回答が挙がった。

逆に、マネージャーはロボットよりも何が優れているのかを質問すると、従業員の感情の理解(45%)、従業員の指導(33%)、職場文化の創出(29%)という回答が上位3位までを占めた。

職場におけるAIの影響はまだ始まったばかりであり、企業がAIからの最新のメリットを活用するには、職場におけるAIのシンプルさと、セキュリティまたは残されたリスクに注目する必要があると同社は指摘する。

従業員の76%及び人事リーダーの81%は、職場での技術変化のペースについていくのが大変だと感じているという。

従業員は職場におけるAIに対して、シンプルなエクスペリエンスを求めており、より優れたユーザー・インターフェイス(34%)、ベスト・プラクティス・トレーニング(30%)、行動に合わせてパーソナライズされたエクスペリエンス(30%)を求めているとのこと。

職場でAIの利用から従業員を遠ざけている大きな理由は、セキュリティ(31%)とプライバシー(30%)だという。

世代別に見たところ、デジタル・ネイティブなジェネレーションZ(43%)とミレニアル(45%)は、ジェネレーションX(29%)及びベビーブーマー世代(23%)以上に職場でのプライバシーとセキュリティを懸念しているとのことだ。

同社の人材管理クラウド・ビジネス・グループ担当シニア・バイスプレジデントであるEmily He(エミリー・ホー)氏は、「機械学習と人工知能における最新の進歩は急速に導入が進んでおり、人々がテクノロジーやチームとやり取りを行う方法に、世界中で大きな変化が生じています。職場では、人間と機械の関係が見直されており、この課題にうまく対応できる汎用型のアプローチは存在しないことが、今回の調査でわかりました。世界中のチームからの変化し続ける期待に応えるには、企業は、人事部門と連携して職場にAIを導入するアプローチをパーソナライズする必要があります」と述べている。