日本ヒューレット・パッカード(HPE)は7月30日、都内で記者会見を開き、ミッションクリティカルストレージ「HPE Primera(プライメエラ)」として「Primera 630」「Primera 650」「Primera 670」の3機種を8月8日に販売開始すると発表した。

  • 「Primera 670」の外観

    「Primera 670」の外観

新製品は、シンプルさと自己管理を「Nimble Storage」、アプリケーション中断の予測と防止をクラウドベースの人工知能(AI)管理ツール「HPE InfoSight」、リスク内で統合する高可用性と高性能を「3PAR Storage」のDNAをそれぞれ引き継ぎ開発したという。

  • HPEのストレージポートフォリオにおける「HPE Primera」の位置づけ

    HPEのストレージポートフォリオにおける「HPE Primera」の位置づけ

また、20分以内にインストールできるほか、ストレージのプロビジョニングが数秒で完了し、組み込まれているデータ容量削減機能は常時オンに設定され、必要に応じてオフに切り換えることを可能としている。

冒頭、日本ヒューレット・パッカード ハイブリッドIT事業統括 ハイブリッドIT製品統括本部 統括本部長の本田昌和氏は「ストレージの市場トレンドは、フラッシュ時代とクラウド時代を過ぎ、AI主導のエクスペリエンスを提供するインテリジェンス時代が到来した。インテリジェンスが求められる背景としてはインフラ管理や複雑なハイブリッド環境の制御、急増するデータを活用することが人間の力では限界を迎えているからだ」と指摘する。

  • 日本ヒューレット・パッカード ハイブリッドIT事業統括 ハイブリッドIT製品統括本部 統括本部長の本田昌和氏

    日本ヒューレット・パッカード ハイブリッドIT事業統括 ハイブリッドIT製品統括本部 統括本部長の本田昌和氏

Primera 630はサイズが2U、コントローラノードは2、ドライブは1.92TB SSD×8、同650と同670はサイズが4U、コントローラノードは2または4、ドライブは2ノードで1.92TB SSD×8、4ノードで1.92TB SSD×16、いずれの製品もサポートはProactive Careが3年となる。

日本ヒューレット・パッカード ハイブリッドIT事業統括 ハイブリッドIT製品統括本部 製品部 カテゴリーマネージャーの加藤茂樹氏は「最先端のテクノロジーとインテリジェンスを備えた次世代プライマリストレージだ。これまでミッションクリティカルストレージに必要となるスピードと信頼性を内包しつつ、これらに相反する俊敏性とシンプルさを加え、ミッションクリティカルストレージを再定義した」と力を込める。

  • 日本ヒューレット・パッカード ハイブリッドIT事業統括 ハイブリッドIT製品統括本部 製品部 カテゴリーマネージャーの加藤茂樹氏

    日本ヒューレット・パッカード ハイブリッドIT事業統括 ハイブリッドIT製品統括本部 製品部 カテゴリーマネージャーの加藤茂樹氏

主な特徴は「グローバルなインテリジェンス」「オールアクティブアーキテクチャ」「サービス中心のOS」「タイムレスストレージ」の4つとなる。

グローバルなインテリジェンスに関しては、InfoSightの一部をアレイに組み込んでいる点を挙げており、シグネチャパターンを読み取るだけでなく、予想される動きを確認し、最適なアドバイスをユーザーに提供することができるという。これにより、異常検出やホットスポット検出、ワークロード予測などを可能としている。

  • InfoSightの一部をアレイに組み込んだ

    InfoSightの一部をアレイに組み込んだ

オールアクティブアーキテクチャは各コントローラノードに対して専用のASICを設けたことで大規模/並列処理を行えるようにアーキテクチャを刷新。また、NVMe設計であり、リソースと性能をコントロールし、チューニングが不要でインスタントフェイルオーバーを備えている。

  • 各コントローラノードに対して専用のASICを設けた

    各コントローラノードに対して専用のASICを設けた

サービス中心のOSについては、従来OSはカーネル付近に配置していたが、ドライバに密接する部分のためコントローラノードリブートなど、ミッションクリティカル環境で利用する際に定期的にサービスを停める場合があったことから、ユーザースペースでOSを作り上げている。カーネルから離れた場所に作っているためハードウェア系に影響を与えず、ユーザースペース上で多くのサービスを動かすが、各サービスはきめ細かいアップデートなどを可能としている。

  • ユーザースペースにOSを配置した

    ユーザースペースにOSを配置した

タイムレスストレージに関しては、物理容量を追加しなくても重複排除や圧縮などにより、ストレージを利用できるStore More Guarantee(容量削減保証、後日展開予定)や、新製品はオールフラッシュのみのためフォークリフトアップグレードを不要とするコントローラアップグレードオプション(後日展開予定)、100% Availability Guarantee(可用性保証)などを提供する。

そして、加藤氏は「最も注目してもらいたいのは100% Availability Guaranteeだ。これは、ミッションクリティカルストレージの新しい常識になってほしいという意味合いを込めた」と強調した。

100% Availability Guaranteeは新製品の可用性100%を保証するプログラムであり、プログラム条件はProactive Care以上の有効な保守契約、InfoSightへの接続およびHPEへのデータ送付となり、プログラム費用は無料。可用性が担保できなかった場合は、将来的なPrimeraの購入またはアップグレード時にディスカウントできるようなクレジットを提供するという。

  • 100% Availability Guaranteeの概要

    100% Availability Guaranteeの概要

最小構成価格は、いずれも税別でPrimera 630が2039万1000円~、同650が2ノード構成で2966万1000円~、4ノード構成で5514万円~、同670が2ノード構成で4591万5000円~、4ノード構成で8744万1000円~。