昨年6月に小惑星「りゅうぐう」上空に到達していた探査機「はやぶさ2」が11日にりゅうぐうへの2回目の着陸を試み、世界初となる小惑星の地下物質の採取に挑戦する。小惑星の地下物質は宇宙線などで風化しておらず、採取と地球への持ち帰りのいずれも成功すれば太陽系や生物の起源と進化解明などに貴重な手掛かりになると世界の研究者が期待している。

  • alt

    小惑星「りゅうぐう」上空の「はやぶさ2」の想像図(JAXA/池下章裕氏提供)

  • alt

    小惑星「りゅうぐう」地表付近に到達した「はやぶさ2」想像図(JAXA/池下章裕氏提供)

はやぶさ2は、小惑星「イトカワ」に2005年に到達した「はやぶさ」の後継機。はやぶさはイトカワ表面の岩石採取には失敗したが着陸の際に舞い上がったとみられる微粒子のサンプルリターンに初めて成功している。はやぶさ2は約600キロ。推進装置はイオンエンジンで、光学カメラやレーザー高度計など先端技術を駆使した機器類や着陸機を積んでいる。2014年12月に鹿児島県の種子島宇宙センターからH2Aロケットで打ち上げられた。地球の重力を利用する「地球スイングバイ」で方向を変えるなどして太陽の方向に飛行を続け、昨年6月27日にりゅうぐう上空に到達した。飛行距離は約32億キロにも及んだ。

りゅうぐうは、地球と火星の軌道付近を通りながら1年余りをかけて太陽の周りを回っている1999年に発見された小惑星。はやぶさ2の観測でそろばん玉のような形をしている。幅は約900メートル。先代のはやぶさが調べた小惑星イトカワの2倍ほど。水分や有機物を含む岩石が存在して原始太陽系の痕跡をより多くとどめているとされている。

  • alt

    衝突装置で人工クレーターができる瞬間の想像図。はやぶさ2はリュウグウの陰に待避する(JAXA/池下章祐氏提供)

  • alt

    2018年9月12日に「はやぶさ2」搭載のカメラで撮影された「りゅうぐう」。635メートル離れたところから撮影(JAXA提供)

  • alt

    018年10月15日にはやぶさ2の光学カメラが撮影したりゅうぐうの表面(JAXA提供)

関連記事

「はやぶさ2が衝突装置の作動に成功 小惑星りゅうぐうの人工クレーター実験で世界初の岩石採取目指す」

「はやぶさ2、遠い小惑星りゅうぐうに着陸 3億キロ以上離れた難作業に成功の快挙」