大切なお金を払ってモノやサービスを購入してくれるユーザーたちにはいろいろな動機がある。必要不可欠な動機、ちょうどいいタイミングで感性にあった動画広告を見た、そのメーカーのブランドが好きだ。などなど、店頭のみを中心とした従来の"AIDMA"(Attention/Interest/Desire/Memory/Action)などに代表される消費者行動分析に、"サーチ"(検索)と"シェア"(意見共有)が加わる"AISAS"(Attention/Interest/Search/Action/Share)が加わるのも頷ける。
スポーツ製品を取り扱うミズノの公式サイト「MIZUNO SHOP」では、細かな分類での製品のカテゴライズが行われている。トレーニングウェア、野球、ランニング、ラグビー、陸上、柔道、空手、フットサル・・・などの種目別。ウェア、アンダーウェア、シューズ、キャップ・ハット、ソックス、インソール、バッグ・・・などのアイテム別。ドライベクター、ドライアクセル、アイスタッチ、バイオギア、ブレスサーモ、テックシールド・・・などの素材別のカテゴリと詳細な経路で商品へと辿り着ける。アイテムが豊富なだけにアプローチも豊富だ。
昨年12月にマーケティングオートメーションで企業マーケティングを支援するアクティブコアは、MIZUNO SHOPに同社の「activecore marketing cloud」を導入したことを発表している。SHOP上の行動履歴、属性情報、購買履歴などのデータが統合され、可視化やWeb/メールによる精緻なレコメンド、情報配信時間の最適化とバリエーションある商材を持つミズノオンラインショップのユーザーの最適化には"ピタゴラス"という名の同社開発のAIエンジンが活用されている。
「第13回 Web&デジタル マーケティング EXPO 春」にはこのピタゴラスが展示されていた。AIピタゴラスは、行動パターンを予測し見込み顧客を発掘する「Pythagoras Discovery」、機械学習により最適なレコメンドを表示する「Pythagoras Recommend」、自然言語処理により、よりパーソナライズさせたレコメンドを表示する「Pythagoras Natural Language」、売上予測、購入・成約、失注予測をする「Pythagoras Predict」の4つの機能を有する。
たとえば、メールの配信に関しては、開封されやすい時間、購買層が活動的な時間をAIが判断し、一斉ではなくターゲット一人一人に最適な時間に自動配信することができるようになる。ブース担当者によれば、「夜活動する人に朝メールを出しても効果がない。一番反応しやすい時間帯をAIが判定して配信できる」という。そして、開封された時間などの情報を学習してさらに精度が上がっていく。画像認識機能を追加すべく開発が続けれており、この機能が実装されれば画像認識を活用したレコメンド向上も期待できる。ブース担当者によれば「アパレル業界などでは、服飾の色、デザイン、素材などで何が活用されているかを分析し、最適な服飾のレコメンドが可能になる」ということだ。
アクティブコアのマーケティングクラウドは、個別のデータやマーケティングツールを統合し、使い安さを追求している。特長の一つとして、広告データ、Web行動履歴、売上データなど統合して一つデータベースを構築する「プライベートDMP」サービスがある。
これにより複数のデータを統合したUIで分析できる。顧客分析、売上分析、広告反応分析など統一のインタフェースで分析、分析後のアクション操作も行うことができる。ドラッグ&ドロップで簡単にレポートやダッシュボードを作成することができる。広告LTV分析やRFM分析、キャンペーン、メールなど様々なマーケティングレポート出力にも対応している
レコメンド機能は、AIの「ピタゴラス」を活用しており、「商品軸」と「顧客軸」と「時間軸」を組み合わせた「アイテムレコメンド」、ユーザーの行動履歴、サイト全体のユーザー動向を組み合わせ解析したデータを元に出力する「コンテンツレコメンド」、訪問者一人ひとりの趣向にあわせて最適化された「パーソナルレコメンド」、メールでの反応を分析し最適化する「メールレコメンド」など、50種類のレコメンドアルゴリズムを活用できる。LPOやA/Bテストの実行も可能だ。
統合したマーケティングオートメーションで運営することで、顧客ステータスやタイミングに合わせた最適なアプローチを実現し、これを自動化することで顧客のPDCAサイクルの効率化と高速化に貢献する。ブースの担当者によれば、「アクティブコア マーケティングオートメーションは、すべて自社製作なので、要望をダイレクトに聞き、システムに改善に反映したり、独自のカスタマイズにも対応できる」そうだ。