Microsoftは5月6日(米国時間)、「Announcing WSL 2|Windows Command Line Tools For Developers」において、Windows 10でLinuxバイナリを実行する技術「WSL (Windows Subsystem for Linux)」の最新版となる「WSL 2」を発表した。

従来のWSLと同じ体験を提供しながら、ファイルシステム性能の大幅な高速化、Linuxシステムコールの100%互換を達成したと説明している。従来の互換レイヤ的なアプローチから仮想マシンを利用するアプローチに変換することで実現したという。

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    資料: Microsoft

MicrosoftはLinuxのシステムコールをWindowsのシステムコールに差し替える方法でLinuxバイナリを実行する技術「WSL」をWindows 10に導入した。この機能を利用することで、Windows 10上でネイティブにLinuxバイナリが実行できるようになった。WSLは仮想マシンを利用するアプローチと比較して高速に動作する点を特徴としているが、LinuxとWindowsのファイルシステムの違いからファイルシステムパフォーマンスが低いという課題も抱えていた。

Microsoftは、WSL 2において仮想マシンを利用するアプローチとしてLinuxカーネルをほぼそのまま利用する方式に変更したと説明。このアプローチによってWSLでは実現できなかったLinuxシステムコールの100%対応を実現したという。

また、zip圧縮されたtarボールの展開速度で2倍から5倍の高速化を実現するなど、ファイルシステムの性能も大幅に向上している。

Microsoftは仮想マシンの利用によって発生する起動の遅さや管理の手間などはWSL 2には存在せず、仮想マシンに関する操作を背後に隠蔽することで、仮想マシンを意識することなく利用できるようにしたとしている。採用された仕組みに関する詳細は今後発表される見通し。

Windows側のファイルシステムとどのように連携するのかについても発表されていないため、その場合のファイルシステムの性能がどの程度になるのかも不明であり、2019年6月以降に提供されるInsider Preview版を試用すべきか、Microsoftから発表が行われるまで判断を待つ必要がある。