IDC Japanは4月23日、「2019年 国内ユーザー企業調査 産業分野別/企業規模別 IT投資動向と課題」の分析結果を発表した。これによると、2018年の調査と比較してSMB(Small and Medium Business、中堅中小企業)での増加傾向が強く、ITベンダーには企業のITスタッフ不足やノウハウ不足を支援する提案が望まれていると分析している。

  • 自社のIT投資の対前年度増減見込み

    自社のIT投資の対前年度増減見込み

同社は定期的に、産業分野別および企業規模別のIT投資に関するユーザー調査を実施しており、2019年2月に実施した調査ではIT支出状況、第3のプラットフォームの活用状況とその目的を調査した。

また、ITが解決し得る経営課題や、経営層からIT部門に出す課題、企業のデジタルトランスフォーメーションの推進に重要な役割を果たすイノベーションアクセラレーターの取り組み状況と推進課題など、ユーザー企業のITの活用に関連する課題についても調査。

2018年度と比較した2019年度のIT支出の増減は、小規模企業の増加傾向が強くなっており、産業分野別では流通、サービス、官公庁が前年調査に比べてIT投資の増加が最も見込める結果になっている。

ビッグデータ活用や製品サービス開発、インフラ統合など、企業競争力強化の戦略的IT投資は、特に5000人以上の大企業で行っており、企業規模間の格差拡大の要因となり、セキュリティに関しては、企業規模に関係無く優先的な投資先の回答が多くなっている。

米国を中心とする保護貿易主義(米中貿易摩擦や各国の関税政策など)がもたらすIT投資への影響は、半数近くの企業は影響なしと回答しており、減少と回答した企業は8%程度となった。2018年度と比較した2019年度のIT支出の増減は、全体として増加傾向にあり、特にSMBにおいて増加の回答が多くなっている。

同社のITスペンディング リサーチマネージャーである村西明氏は「多くの国内企業、特にSMBでは、ITスタッフ不足やノウハウ不足など人に関連した課題を多く抱えており、ITベンダーは、企業の業務効率化を支援するための提案がより重要となっている」と述べている。