マカフィーは4月18日、都内で2019年の事業戦略について記者説明会を開いた。説明会にはマカフィー 代表取締役社長の田中辰夫氏が出席した。
冒頭、同氏は2018年のサイバーセキュリティを取り巻く環境として「2018年は各社がEDR製品の開発に注力し、CASBの市場浸透が進んだ。脅威動向については仮想通貨マイニングマルウェアが過去1年で劇的に増加したほか、IoT機器を狙ったマルウェアも急増した」と振り返った。
このような状況を踏まえ、同社ではセキュリティ人材の不足に対してデバイスセキュリティ管理を行う「MVISION ePO」などを提供したほか、働き方改革を支えるためクラウドセキュリティに注力した。そして、新たなビジネスドメインとしてIoT/OTビジネスを拡大したという。
2019年のIT業界の市場動向として、企業における機密データの保存先の66%がSaaS、24%がIaaS/PaaS、10%がシャドウ/認可PC上となり、クラウドへの依存が強まっている。また、国内IoT市場は2018年~2023年までの年間平均成長率が13.3%、2023年には12兆円規模に達すると予測されている。
一方、セキュリティ市場の動向は複数のデバイスを保有するとともに、IoTの普及が進むにつれてOSプラットフォームは閉鎖的になることに加え、ネットワークは多様な環境からクラウドへのアクセスが増加することに伴い複雑かつ不透明になるという。さらに、マルチクラウドやハイブリッドクラウドの定着により、ワークロードのクラウドへの移行が増加し、セキュリティ人材の不足も引き続く継続すると、推測している。
同社は、2019年の法人向けビジネスで「Together is power」、個人向けビジネスでは「Protect what matters」をコーポレートメッセージとしている。
田中氏はポートフォリオ全体の共通の考え方として「クラウドファーストを進め、オンプレミスとハイブリッド環境をサポートしつつ、カスタマージャーニーに合わせてクラウドに機能を移行する。また、われわれの強みである管理プラットフォームを強化・維持することに加え、分析の精度を高めるために10億以上のセンサから集まる脅威インテリジェンスを活用していく」と、強調した。
法人向けポートフォリオ戦略では、昨年8月に発表した法人向けサービスである「McAfee MVISION」の製品拡充を進める。
同サービスは、McAfee MVISON ePOとWindows 10に標準搭載されたセキュリティ機能を管理・強化する「McAfee MVISION Endpoint」、モバイルデバイスに対する脅威を可視化・防御する「McAfee MVISON Mobile」、SaaS/IaaS/PaaS間のクラウドネイティブデータとアプリケーションセキュリティの「MVISION Cloud」で構成。2019年中盤以降に次世代EDR「MVISION EDR」の提供開始を予定している。
クラウドサービスの普及に伴う課題への対策として、MVISION Cloudに加え、McAfee Web Gateway、DLP(クラウド上の機密データに対するポリシー適用)およびCloud Workload Securityなどの既存製品を合わせたソリューションの拡販に注力する。
また、ITだけでなくOTを含むIoTは高度なセキュリティ対策が不可欠であることから、製品の導入だけでなく、現状評価・分析から体制の整備、業務プロセスの策定・改善、システムの設計・構築・運用支援、更に教育・訓練などを含めた包括的なプランニングが必要となる。そのため、重要インフラのサイバー攻撃対策を含め、サービス提供を強化していくという。
一方、個人向けポートフォリオ戦略に関しては、PCやモバイルを守るだけでなく、ユーザーごとの環境に合わせたセキュリティ対策へとニーズが変化し、個人情報や金融情報、家庭内のIoT機器、そして家族を守るためのセキュリティの提供へと対象範囲が拡大している。このような状況を背景に、インターネットに接続されたすべてのデバイス(PC、モバイル、および家庭用IoT)を狙ったサイバー脅威から保護することに注力する。
そのためのソリューションの拡充として、米国ではすでに展開しているホームセキュリティ製品や、eスポーツに対応するゲーマーセキュリティの日本国内での展開を年内に予定している。