センコーと帝人は28日、ICタグを使った商品入出荷システムを共同開発、その運用を開始したことを発表した。
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センコー公式サイト
コンサルティングからオペレーションまで含む包括的な物流サービスも行うセンコー。食品やファッションから住宅やケミカル、医療と大きさや特性も異なる多様な業種をカバーし、海外の生産工場から国内の小売店までの物流オペレーションの実施、SCM(Supply Chain Management)の構築と経済の動脈を支えている。
ここ数年、宅配での人手不足が報じられるなど消費経済を支える分野でのボトルネックが問題となっている。人の力が必要な物流の世界は人手不足が深刻化しており、同社も昨年4月には、AIやロボティクスのプロジェクトを立ち上げている。今回、同社と帝人が発表したシステムは、ロボティクスプロジェクトのなかの取り組みのひとつで帝人の在庫管理システム「レコピック」の技術を物流センター向けに改良している。
レコピックは、図書館や医療の現場、企業での重要な物品管理で活用できるRFIDシステム。棚に設置する厚さ3mmの特殊なアンテナシート「セルフォーム」で電磁界分布の"むら"を抑え、安定したICタグ情報を瞬時に読み取る。何時何分にこの薬品が増えた、何時何分にこの機密文書が持ち出されたというようにリアルタイムな管理対象物の把握が可能になる。Web APIでのシステム連携が行えるためOSの種類を選ばずブラウザで管理設定も行えるという利点もある。
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レコピックのシステム接続の図(レコピック公式サイトより抜粋)
センコーの大分メディカルセンターでは、センター内での物品保管場所の変更の都度、作業員がフォークリフトから降りて、ラックと商品をバーコードで読み取るという煩雑な業務が発生していたが今回、このレコピックを物流センター向けに改良。荷物や保管ラックにICタグ、フォークリフトにアンテナシートを付けるというメカニズムは、作業員がフォークリフトから降りずに自動的に商品データを把握できるという大きな利便を提供している。
東京大学発のベンチャー企業セルクロスと帝人が開発したレコピックのアンテナシートであるセルフォームは、背面に金属素材を配置しており設置棚の材質を選ばないという特徴も持つが、フォークリフトのような移動体への設置は初のケースになるという。両者は今後も連携を強化し、システム運用の実績を重ねる構え。図書館などの文書管理、医療など薬品の重要なモノの管理に活躍するレコピックだが、何をどう管理するかというテーマ次第で広い分野での課題解決に寄与できそうだ。