全日本空輸(ANA)は3月20日、NECが開発したバーチャルリアリティ(VR)を活用した客室乗務員訓練を開始した。現実で再現困難なシーンをVRで実現する「法人VRソリューション」を活用したものとなり、航空業界の訓練用途でCGを用いたVRの本格導入は、世界初だという。
2018年度に採用した約800人の新入客室乗務員を対象に、機内の安全性確保に向けた保安訓練にVRを活用した訓練を導入。具体的には、現実で再現困難な機内での緊急事態(火災、急減圧)や機内設備の安全確認作業をVRで再現する。
同訓練の導入により、万が一の緊急事態の発生時においても、これまで以上に迅速かつ適切に対処できる客室乗務員の養成ができるとともに、反復実習を可能とし、業務手順の定着が高まるなどの効果が現れ始めているという。
今回の導入はNECの法人VRソリューションを活用することにより、客室訓練における課題を解決するだけでなく、仮想空間を活用する次世代の業務スタイル「Virtual Work Place」(VR空間が業務を行う場所の新たな選択肢になるという概念)を見据えたものとなる。
また、4月からは一体型VRデバイス「Lenovo Mirage Solo」の採用を予定しており、前後左右の移動や屈む動作もVR空間に反映させることが可能となり、客室全体の設備の安全確認作業など、きめ細やかな機内訓練が可能になるという。