三菱地所とソフトバンクは3月12日、東京・丸の内エリアで第5世代移動通信システム(5G)を活用した防災訓練の実証実験を、同11日に実施したと発表した。5Gを活用した防災訓練は日本初の試みだという。
三菱地所は、東日本大震災時の教訓を活かすため、本社にいる社員を対象に災害体制自動発令後の行動計画に基づいた初動訓練を3月11日に実施。
大手町ビル内に電波品質の高い5Gを局地的に提供できるソフトバンクが開発した可搬型5G設備「おでかけ5G」を設け、フューチャースタンダードが開発したAI映像解析ソフトウェアを使用して、おでかけ5Gで構築した5GネットワークのMEC(Multi-access Edge Computing)サーバ上でデータ処理することで、避難所の状況をリアルタイムでモニターできるシステムの検証を行った。
今回構築したシステムにより、2カ所の避難所に設置したIPカメラの映像を5Gネットワークを通して伝送し、MECサーバ上でAI処理することで「避難所内の避難者数、救護者数、属性(性別、年代など)の判定」「避難所の混雑状況」「顔認証による救護者の識別」「要救助者の検知」などの情報をモニタールームでリアルタイムに可視化することができたという。
これにより、災害発生時の避難所でのオペレーションが高度化・省力化され、混雑具合に応じた適切な避難所への誘導や救護者の適切な人員配置、必要な物資の数や種類の選定など、非常時の判断や対応を円滑に進めることを可能としている。
また、大規模災害などが発生し、既存の通信網が利用できない状況でも早急に安定したローカルネットワークの構築が可能なおでかけ5Gを設置することで、エリア防災の取り組みにも活用できるという可能性を確認した。今後、おでかけ5Gは災害現場などでの活用も期待されているという。