ローコード開発環境「OutSystems Platform」を提供する、ポルトガルのOutSystemsは3月8日、国内ではじめてプレス向け説明会を開催。同社の現状や最新バージョンの「OutSystems Platform 11」での追加機能を説明した。

ローコード開発環境は、ほとんどコーディングすることなく、アプリが作れる開発環境。ノーコードといわないのは、オリジナルコードを追加できるというカスタマイズ性もある点を表現しているという。同社によれば、自社ユーザーのうち98%は、オリジナルコードを追加することなく、変換されたコードをそのまま利用しているという。

「OutSystems Platform」は、独時定義したグラフィカルな言語による「ビジュアルモデリング」という手法を用いてドラッグ&ドロップでプログラムを設計できる。その後は、自動的にC#のコードに変換され、コンパイル、データベース定義、本番環境へのデプロイが1クリックで実行される。

  • 「ビジュアルモデリング」

作成されたアプリは、レスポンシブルデザインに対応しており、デスクトップ、タブレット、スマホなど端末にあわせたUIで表示される。

OutSystemsジャパン 代表取締役社長 兼 OutSystems, Inc. VP、北東アジア統括責任者のアーノルド・コンセンコ氏は、「コーディングは手作業が多く、そんなに進歩していない。コーディングをオートメーションできれば、仕様変更が発生した際にもコストや時間を短縮できる。また、言語を知らなくてもプログラムを作成することができる」と、「OutSystems Platform」を提供する背景を発明した。

  • OutSystemsジャパン 代表取締役社長 兼 OutSystems, Inc. VP、北東アジア統括責任者のアーノルド・コンセンコ氏

同社は、国内ではこれまで、トヨタをはじめとする製造業の大企業を中心に提供してきており、2017年の経常収益(ARR)は前年比215%、2018年は前年比で277%と大きく成長し、2018年までに累計で90社に提供しているという。

  • 国内のビジネス成長

コンセンコ氏はローコード開発環境が求められている背景として、レガシーシステムのメンテナンス費用が多くかかっている点、開発者の人材不足などからシステム開発コストが上昇している点、デジタルトランスフォーメーションに向け、より迅速にサービスをリリースする必要がある点、パッケージを利用するよりも早くカスタムコーディングができるのであれば、そのほうが良いという考え方に戻りつつある点などを挙げた。

今後は、金融などにも注力することで、2019年に累計で150社以上に導入し、前年比で80%の成長を目標にしている。

2018年277%の成長に比べ、80%という抑えた目標についてコンセンコ氏は、「一気に成長すると品質が保てなくなるためだ」とした。

コンセンコ氏は、「プログラミング言語にジェネレートできるツールはあるが、開発から運用までのすべてのライフサイクルをカバーするのはOutSystemsだけだ」と、他社との差別化ポイントをアピールした。

  • 差別化ポイント

OutSystemsジャパン 営業第一本部 本部長 三重野智博氏

日本では、100%パートナーによる販売で、BlueMeme、伊藤忠テクノソリューションズ、SB C&S、インテックなどが提供している。

営業第一本部 本部長 三重野智博氏によれば、OutSystemsの利用用途としては、社内の基幹システムや社員向けが多く、部門間システムを含めると半数以上が社内システム。ただ、2018年は対顧客向けのシステムが大きく増加しているという。

  • OutSystemsの利用用途比率。背景がグレーの数字は2016-2017年、背景が白の数字は2018年

日本国内のユースケースとしては、エンタープライズ企業の既存のコアシステムのリプレース、SMBの部門別システムの統合、金融・保険のサービスの多様化、Lotus Notesからのマイグレーションなどが多いという。

  • 国内の主要ユースケース

昨年リリースされた最新のバージョン11での強化ポイントしては、マイクロサービスへの対応(API、ライブラリ強化)、アプリ内外の依存関係の分析・自動判別、コンテナ対応(Docker EE、Azure kubernetesなど)、200以上のセキュリティリスク対応処理の組込み(自動監視、監査ログ取得、自動最適化など)、過去のアプリを分析した上での100以上のUIフレームワーク スクリーンテンプレートの追加、デプロイプロセスの30%高速化などがあるという。

  • アプリの依存関係の管理

  • セキュリティリスク対応処理の組込み

今後は、これまでに開発された1200万のアプリをAIで分析し、ユーザーの次の操作を予測してサジェストする機能(平均25%の工数削減)や、Mac対応を行っていくという。

  • AIで分析し、ユーザーの次の操作を予測してサジェスト