大日本印刷(DNP)は3月5日、人の在室状況や会話など空間内のセンサーで収集した情報に合わせて、壁や天井などの部材自身が部屋の光の色を変えたり、音を発したりするシステム「次世代ステルス空間」を開発したことを発表した。

  • 「次世代ステルス空間」のイメージ

    「次世代ステルス空間」のイメージ

「次世代ステルス空間」は、人の五感が受け取る光や音などを、照明やスピーカーの存在を意識させずに、あたかも空間を構成する壁や天井等の部材から発することで、人の自然な行動を促すシステム。

人の動きや声のトーン、温・湿度や二酸化炭素濃度など、刻々と変化する空間内の状況を各種のセンサーで感知し、場の状況に応じて機器と一体化した壁や天井が光の色や明るさを変え、発する音の内容や大きさなどを最適化する。これにより、空間にいる人々が次に取るべき自然な行動を促すという。

壁や天井などの空間を構成する部材が機器と一体化し、隠された状態であるため、機器がアクティブに作動していない時は、空間の表層を彩る木目などの建装材として機能するということだ。

なお、同システムは、3月8日まで東京ビッグサイトで開催中の「JAPAN SHOP 2019」の同社ブースにおいて、プロトタイプが公開されている。村田製作所が開発した会議空間のコミュニケーション状況を可視化するセンシングデータプラットフォーム「NAONA」と、日建設計とDNPの共同開発によるフルカラーLED照明一体型壁装材を連動させ、空間の状況に応じたインタラクティブな光の変化を実現するという。

今後は、オフィスやホテル、住宅や店舗、教育施設や医療・介護施設などに向けて、可変する建装材と各種センサーを組み合わせたハードウェアと、制御プログラムや操作インターフェイスなどのソフトウェアをパッケージ化したシステムとして、「次世代ステルス空間」を提供していくとしている。将来的には、利用履歴を使ったコンサルティングなどのデータビジネスの展開も目指すとしている。