レノボ・ジャパンは2月12日、オンライン会議システム「ThinkSmart Hub」の第2弾として、国内で独自開発した「ThinkSmart Hub 700」を発表した。
「ThinkSmart Hub 700」は、2~6名用、4~5m四方くらいの小規模会議室での利用を想定した会議システムで、音質にこだわりDolby Audio Speaker Systemに対応したスピーカーと4つのマイクを搭載する(ディスプレイとカメラは別途必要)。
管理はクラウド上の管理画面で行い、クラウド経由で「ThinkSmart Hub 700」にプッシュ設定する。管理画面では、ネットワークやアカウント設定だけでなく、会議室の利用状況のモニタリング、会議終了時間の告知、一定時間利用がない場合の自動シャットダウン、ソフトウェアアップデート時間設定、USBポートブロッキングなども行える。さらに、360度周囲に実装された6つの人感センサーを活用した4種類のレポート機能を備え、会議室の利用状況を手軽に把握でき、会議室の有効利用、業務の改善に役立てることが可能。
管理画面は、端末上部のホイールを使って操作できる。また、各ユーザーのPCにインストールされている「スマートオフィスクライアント」というソフトウェアからも会議を開始できる。
また、スマートオフィスクライアントをインストールしたPCを持参したユーザーが会議室に入室すると、「ThinkSmart Hub 700」から発する超音波をキャッチし、自動的に会議に参加。端末はAndroidにも対応し、Wi-Fiを利用して資料共有も行える。超音波を利用したのは、Bluetoothよりも利用範囲を限定できるためだという。なお、iOS対応は検討はしているが、対応するかどうかは未定。
「ThinkSmart Hub 700」はSkype for BusinessやZOOMといった複数のUC(ユニファイド・コミュニケーション)プラットフォームに対応(ライセンス込)しており、オンラインに接続しない会議ではパススルーモードにより、PCを「ThinkSmart Hub 700」のHDMIまたはUSB Type-Cポート(パススルーモード専用)に接続して、ディスプレイを外部画面として認識。ミラーリングや拡張画面で表示ができる。有線&無線によるコンテンツ共有は最大4画面まで投影することが可能(コラボレーションモード)。インタフェースとしては、HDMI(入力、出力用)、USB、LAN(有線、無線)がある。
価格は、端末代+ソフトウェアライセンスからなり、1年目は両方で399,000円(税別)。2年目以降はソフトウェアライセンスのみで、月額5,000円程度だという。なお、2年目以降、ソフトウェアライセンスを購入しない場合、パススルーモードであれば利用できる。
レノボ・ジャパン プロダクトマネージャー 元嶋亮太氏は「オンライン会議に対しては、設定、操作が複雑でわかりにくい、コンテンツが共有しにくい、音声がクリアではないという不満や問題点がある。『ThinkSmart Hub 700』では、これらを解決した。独自開発だから実現できた」と語った。
今回の製品は、レノボ大和研究所が2016年から開発に取り組んだ。
レノボ大和研究所 エンタープライズソリューション開発 熊木淳氏によれば、内部構造は、オーディオ・ファーストデザインで取り組み、スピーカーの振動をマイクで拾わないように、完全にレイヤを分けたほか、基盤の熱を冷やすためのエアフローも、大きめのファンをゆっくり回すことで、風切音をマイクで拾わないように工夫したという。開発には住友商事マシネックスの協力を得ており、ベータテストとしての社内利用やディスカッションによる仕様への反映を行ったという。
当初は音声指示による操作を実現する予定であったが、住友商事マシネックスから不要との意見が寄せられ、今回は搭載を見送った。ただ、熊木氏は、今後はニーズを見ながら搭載するかどうか判断したいとした。
独自でテレワーク実態調査
同社が2018年11月、20~60代の会社員(団体含む)男女4,498名に行ったテレワークの制度及びシステムの利用に関する実態調査によれば、調査対象者の中でテレワーク制度のある会社に勤務しているうち、約5割が制度を活用できていないという回答が得られたほか、職場の会議に参加できないためテレワーク制度を活用しづらいと回答した人は約4割いたという。
今回の製品発表に際しレノボ・ジャパン 代表取締役社長 デビット・ベネット氏は調査結果を踏まえ、「『ThinkSmart Hub 700』は、働き改革、テレワークを推進するための製品だ。われわれの役割は、Intelligent Transformationを実現させることだ。日本のテレワークは進んでいるが、もっと進める必要がある」と語った。