最大級の広さのブースを出展

島津製作所は、9月5日から7日にかけて幕張メッセにて開催されている分析機器・科学機器専門展示会「JASIS 2018」にて、同展最大級の広さのブースを展開している。

広範なブースにさまざまな分析機器や測定機器などの紹介を行っているため同社では、「食品」「環境」「医薬」「化学」の4分野の「満喫ガイドブック」と称したパンフレットを作成。それぞれの分野に属する来場者が、どれを見れば、自分たちの業務に役立つかといった工夫を施している。

  • JASIS 2018で配布されている「満喫ガイドブック」

    島津製作所がブースで配布している「満喫ガイドブック」。4つのコースが用意されている

気になる「におい」の「質」と「強さ」を数値化

展示されている数ある製品の中でも、注目を集めていたものの1つが、におい識別装置「FF-2020 Sシステム」(Sシステムは希釈混合装置「FDL-1」やアロライトボンベスタンド、3つの解析ソフトウェアなどがセットとなって提供されているソリューションとしての名称。このほか、FF-2020本体とFAS-1だけの構成のFF-2020 Aシステムというものも提供されている)。

人間の官能評価と同じように、においの強さや質を数値化することで、誰でも客観的な評価ができるようになるというもので、日にちが経った食品のにおいの変化の定量化や、異物混入、コーヒーの香り評価、脱臭や消臭素材の評価、室内や車内などの臭気評価、喫煙後のにおいの時間的変化、おむつ処理袋の臭気漏れなど、さまざまな分野での活用が進んでいる。

  • におい識別装置「FF-2020 Sシステム」

    におい識別装置「FF-2020 Sシステム」。右が本体のFF-2020、中央が希釈混合装置「FDL-1」、左がオートサンプラ「FAS-1」という構成

また、従来、においの原因追求としては、ガスクロマトグラフィー(GC)や、GC+質量分析器(GCMS)などの成分分析が用いられてきたが、同社ブースでは、9月5日付けで発表したばかりの世界最高レベルの性能と使い勝手や運用効率の向上を実現したガスクロマトグラフ質量分析計「GCMS NXシリーズ」の紹介も行なわれている。

近年、さまざまなシーンでGCMSなどを用いた分析が求められるようになる一方、それを扱えるだけの熟練の作業者は育っておらず、不慣れな人でも活用できるように操作やメンテナンスのしやすさの向上が求められるようになってきた。同シリーズは、そうしたニーズへの対応と高性能の両立を図ったもので、例えば、消耗品を工具なしで着脱できる機構「Click Tek」の採用などにより、一部の部品交換については、作業時間を従来比で5分の1に短縮することが出来るようになったという。

  • GCMS NXシリーズ

    GCMSの新製品「GCMS NXシリーズ」とGCMSの前処理装置サーマルデソープションシステム「TD-30R」を組み合わせた展示。GC部分には、最新の「Nexis GC-2030」を採用している

島津製作所+理研+京セラ=ピコグラム定量の実現

このほか、同社ブースでは各ガイドマップのルートからには外れているオープンイノベーションブースも設置されており、現在、同社、理化学研究所(理研)、京セラの3者が協力して研究開発を進めている「RiKS PROJECT」の紹介が行なわれている。

同プロジェクトは、島津製作所の微量計測技術、京セラのピエゾ技術、そして理研のゲノム技術という3つのテクノロジーを融合させることで、ピコグラム定量の実現を目指そうというもの。ナノリットルレベルの分注を実現するピペットを活用することで、1細胞のヒトゲノムの定量を目指したもので、まだ研究開発の途中段階のものとしている。ただし、1分子や1細胞レベルの測定をしたいといったニーズは年々高まっているとのことで、来年の「JASIS 2019」には、製品化につながるようななんらかのアナウンスにまで漕ぎつけたいとしていた。

なお、同社ブースでは、このほか、「Smaet&Speedy」をテーマとして作業時間の短縮やメンテナンスの効率化を体感できる製品の展示も行なっている。こちらは、全10機種が用意されており、当該製品の展示などに三角形の専用ロゴが貼り付けられている。

  • 「Smaet&Speedy」の専用ロゴ

    「Smaet&Speedy」を体感できる製品に提示されている専用ロゴ