NECは8月7日、東京2020オリンピック・パラリンピックにおける、選手、運営スタッフ、ボランティア、報道関係者などの大会関係者の会場入場時における本人確認に、同社の顔認証システムが採用されたと発表した。
導入されるのは、すべての競技会場のほか、選手村、プレスセンターのほか、IOC委員、海外のVIP、スポーツ団体関係者が滞在するオリンピックファミリーホテルで、30万人以上が利用し、入場レーンの合計数は数百にのぼるという。東京オリンピックでは、これらの会場すべてに顔認証が導入される。
すべての会場、すべての関係者を対象に顔認証システムが導入されるのは、オリンピック史上初だという。
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 警備局 局長 岩下剛氏は、「大会関係者は、重要な場所に出入りするほか、会場も1カ所に集中しているパーク方式ではなく分散しているため、何度も入退出する。そのため高いセキュリティやよりスムーズな運用が必要だ。そこで顔認証を導入することを決定した」と導入の背景を説明した。
数ある生体認証の中で、顔認証を採用したのは、顔のデータを収集することがすでに決定しており、別途、認証のためのデータを取得する必要がないためだという。
NECでは、160万件のデータベース検索による照合スピードは0.3秒で、99%を超える照合精度を達成しているという。
今年の冬の大会である平昌オリンピックではバーコードと目視による顔確認を行ったが、NECが行った実証実験では、顔認証システムのほうが2.5倍高速に入場が行えたという。
NECでは、すでにスポーツイベント、コンサート会場、空港、テーマパークなどに顔認証システムを導入しており、NEC 執行役員 菅沼正明氏は、「これらの運用ノウハウを最大限に生かし、東京オリンピックに望みたい。今後は、スポーツクラブで会員証の代わり利用したり、エンターテインメント分野での利用を広げていきたい」と語った。
なお、NECは東京2020で、パブリックセーフティ先進製品&ネットワーク製品のゴールドパートナーになっている。