F5ネットワークジャパンは7月11日、ソフトウェアベース(仮想アプライアンス)のクラウド向けADC(Application Delivery Controller)「BIG-IP Cloud Edition」を発表した。同日より、提供が開始される。

同社はこれまで、オンプレミス向けのミッションクリティカル向けADCを提供してきたが、「BIG-IP Cloud Edition」は、当初からクラウド用途を想定したソリューションで、その第一弾となる。

L4レイヤでのロードバランサ機能を提供する「F5 BIG-IP LTM(Local Traffic Manager)」、アプリ単位でセキュリティ機能(WAF)を提供する「F5 Advanced WAF(Web Application Firewall)」、インスタンスの集中管理やテンプレートによるポリシー適用を行う「F5 BIG-IQ Centralized Management」などの機能をパッケージングして提供する。「F5 BIG-IP LTM」の部分は、将来的に、既存のハードウェアや仮想アプライアンス製品で置き換えることも可能にするという。

「BIG-IP Cloud Edition」の特徴は、L4のロードバランシングとL7のアプリごとのWAF機能および状態把握の機能を分離して、2階層構造でADCを提供している点。これによって、アプリごとの異なる要件に対応できるほか、BIG-IPのアップデートをアプリに影響与えず実行できるメリットがあるという。

  • 「BIG-IP Cloud Edition」の構成イメージ

また、アプリごとのWAFの部分は、サービスカタログ化され、アプリ開発者は、それらの中から適用するものを選択するだけでよい。そのため、アプリ開発者はWAFに関する知識がなくても、アプリをリリースできる。

  • セキュリティポリシーの適用(左)

これにより、LTMはインフラ担当が行い、WAFの部分はアプリ開発者が行うなど役割分担ができ、これにより、DevOpsによる頻繁なアプリのリリースに迅速に対応できるメリットがあるという。

F5ネットワークスジャパン 代表執行役員社長 権田裕一氏

F5ネットワークスジャパン 代表執行役員社長 権田裕一氏は「これまでF5は、ミッションクリティカルなシステム向けに製品を提供してきたが、デジタルトランスフォーメーション牽引している現在のアプリケーションは、頻繁な改修は当たり前で、スピードが至上命題となっている。アプリケーションの作り方も、アジャイル型に変化し、自動化ツールとのオーケストレーション、クラウド利用、DevOps型というアプリケーションの開発現場にも変化が起きている。キーワードはマルチクラウドだ。こういった環境においてお客様は、セキュリティポリシーの一貫性、アプリを脅威から守ること、パフォーマンスを最適化、健全性の可視化を気にされている。これらの課題を解決するのがBIG-IP Cloud Edition」だ」と、新製品をリリースした背景を説明した。

  • 「BIG-IP Cloud Edition」と従来製品の違い

F5ネットワークスジャパン リージョナルマーケティングアーキテクト/エバンジェリストAPCJ 野崎 馨一郎氏

「BIG-IP Cloud Edition」では、2階層目となるアプリごとのADCによって、アプリのトラフィック状態やセキュリティ状態を可視化できるのも特徴で、F5ネットワークスジャパン リージョナルマーケティングアーキテクト/エバンジェリストAPCJ 野崎 馨一郎氏は、これによって、アプリ開発者はインフラ担当に依頼しなくても、専用の管理ダッシュボードでアプリケーションの状態を可視化できるのも特徴だと語った。

  • 専用の管理ダッシュボード

料金体系は、従来型のパーペチュアル(買い切り型)ライセンスモデルのほか、サブスクリプションモデル(年単位)をサポートしている。