NECは6月12日、大量の映像から人物の出現パターン(時間・場所など)を数値化し、不審者を高精度で自動分類できる技術を開発したと発表した。

新技術は、頻出する人物を抽出する同社の「時空間データ横断プロファイリング」を強化するものとなり、不審者の見逃しを防ぐため、出現パターンの違いに注目して不審者を抽出するアルゴリズム(手法)を開発。

同社は、2016年に「時空間データ横断プロファイリング」を活用したAIソフトウェア「NeoFace Image data mining」を販売開始し、実証実験を進めてきた。実証実験で積み重ねた人物の出現パターンの解析ノウハウおよび、これまで培った大量の映像データの高速処理手法を組み合わせることにより、今回の技術開発に成功した。

  • 人物の出現パターンを可視化するという

    人物の出現パターンを可視化するという

公開映像データを用いて評価実験を行ったところ、うろうろしていた人、長時間立ち止まっていた人、通り抜けた人などの出現パターンを正しく分類でき、不審者の見逃しがなくなることを確認した。

主な特徴として「人物の出現パターンを数値化・可視化」「用途に応じた重み付けによる目的の出現パターンで順位付け」の2点を挙げている。

人物の出現パターンを数値化・可視化に関しては、カメラ画像をマス目に分割し、出現頻度、動き(行動範囲、活動量)、滞在時間といった情報を細かく統計処理し、画像1フレームごとに数値化。これを時間の経過で並べ、その変動の度合を変化曲線で表した。これにより、人物について滞在時間が長く変動の度合が小さいと立ち止まっている、大きいとうろうろしている、といった出現パターンの分類を可能としている。

  • 出現パターンの違いを表す変化曲線

    出現パターンの違いを表す変化曲線

用途に応じた重み付けによる目的の出現パターンで順位付けすることについては、先の変動の度合で導き出した出現パターンは出現頻度、動き、滞在時間の数値の重みづけを調整することで、不審者の出現パターンが上位になるように設定することが可能。立ちどまっている人は滞在時間を大きくする、うろうろしている人は動きと滞在時間を大きくするなど、人物を出現パターンで絞り込むことができるという。

新技術を応用することで、特定対象を効率的に絞り込み、探索することが可能となり、例えば迷子、徘徊などの状況に応じ、早い段階での適切な対応ができるようになるとしている。今後、同社は防犯や観光客へのおもてなしなどへの適用に向けて、2018年度の実用化を目指す方針だ。