富士フイルムグループの富士ゼロックスは5月30日、印刷技術を活用したコミュニケーションの変革に顧客とともに取り組むオープンイノベーション拠点を神奈川県海老名市の海老名事業所内に開設したことを発表した。印刷業務における生産性向上や働き方変革の実証にも取り組み、国内外の同社拠点と連携するハブ&スポーク体制のハブとして、グローバルな視点で、コミュニケーションビジネスの未来を切り拓く最前線の拠点を目指す。
「Future Edge(フューチャー・エッジ)」と名付けられた同拠点は、機器や関連ソフトウェアを展示するための単なるショールームではなく、「制約からの解放」「専門性からの開放」「よりクリエイティブな働き方へ」といった3つの価値を印刷コミュニケーションの領域において具現化する場。コミュニケーションにおけるコンテンツを生成する上流工程から、生産工程を経て、必要とされるタイミング・場所・かたちで届ける下流工程までの、印刷バリューチェーン全体におけるコミュニケーションビジネスの変革に取り組む。
また、IoT(Internet of Things)・AI(人工知能)・RPA(Robotic Process Automation)といった技術を活用することで、印刷ジョブをリモートで把握し、人手を介していたワークフローを自動化するなど、印刷業務における生産性向上や働き方変革を実証していく。
総面積約7000平方メートルのスペースには、同社製の全プロダクションプリンタ・関連ソフトウェアやサービスに加え、富士フイルムのインクジェットデジタルプレス「Jet Press 720S」や印刷ワークフローシステム「FUJIFILM WORKFLOW XMF」などを集結し、グループ企業全体でのビジネスシナジーを最大化。
また、常に最先端の仕組みやノウハウの実装を図るために、国内外のパートナー企業やイノベーターとの連携をこれまで以上に加速するという。技術開発の基幹拠点である海老名事業所内で、営業やシステムエンジニアだけでなく、開発・生産担当者やパートナー企業が直接顧客との課題探索や実証などの活動に取り組んでいく。
同拠点は、多様な人々が暮らすコミュニティにおけるコミュニケーションのあり方を構想し、ビジネスモデルを顧客企業と探求する「Smile Garden」や、最新技術によって印刷ワークフロー全体の見える化、設置されている各種デジタル印刷機・後加工システムを使い、未来の印刷工場の生産性改革の体感と実証を進める「Smart Factory」から構成される。