事故防止はもちろん安全運転や省エネ運行、そしてドライバーの健康管理への取り組みといった問題は、ロジスティクス業界や交通システムを取り巻く環境において大切なテーマとなっている。それらの課題を解決するためのシステムや製品などを一堂に集め、東京ビッグサイトにて5月23日から25日の期間で開催された「運輸・交通システムEXPO 2018」。安全な運行を確保しつつ効率の向上をアシストする機器や、ドライバーをサポートする製品などが多数展示された本イベント会場より、来場者の注目を集めていたブースをピックアップしてお届けしてみよう。
本稿でピックアップするのは、ドライバーのバイタルデータを収集しドライバーの状態を見える化することで業務負荷を軽減するという「日常健康見守りサービス」や、見える化されたデータを元に現場の意思決定・アクションを加速させるというセルフサービス型分析プラットフォーム「Qlik Sense」「Qlik View」を展示していた東芝情報システムのブースだ。
この「日常健康見守りサービス」、既に複数の事業者に導入されているほか、本サービスを利用した「乗務員の健康管理と健康起因事故の防止プログラム」が国土交通省の事故防止対策支援推進事業(平成29年度)において国土交通大臣認定のコンサルティングメニューにも採択されている。本サービスでは、活動量計や血圧計、体温計や体重計といった乗務員のバイタルデータを取得できるデバイスを身に付けることにより、勤務中はもちろん日常のすべてを見守ることで、例えば疾病の早期発見や予防、体調の変化をリアルタイムに把握することで業務遂行能力を判断して適切な対応を行いチーム全体の生産性低下を抑制する効果が期待できるという。
実際に本サービスを導入した企業によれば、導入当初「プライベートまで監視されているようで……」と乗務員の一部から声が挙がったそうだが、「会社として自分たち乗務員の健康に気を配ってくれている」と肯定的な意見が大半を占めたそう。万一の事故があってはならない業界だけに、本サービスのような乗務員の健康状態を見える化して把握し、余裕を持って対策を講じることができるのは企業にとっても乗務員にとってもWin Winな関係を構築することができることだろう。
また、「日常健康見守りサービス」と連携させることが可能なセルフサービス型分析プラットフォーム「Qlik Sense」「Qlik View」を用いることで、より高度な健康増進施策の立案や効果検証を行うことも可能だ。バイタルデータを出力して健康起因事故調査表のエビデンスとして利用するほか、勤務データ等との連携によって健康状態に配慮した勤務シフト作成の手助けにもなるという。
運輸業界が抱える人手不足や労働環境といった数々の課題に対して、健康という側面から解決策を模索する東芝情報システムのソリューション。業務効率化のみならず、企業や乗務員に安心と安全をもたらすものとして今後の発展に期待したい。