楽天は5月22日、ビッグデータを分析して消費行動を理解しマーケティングソリューションに利用するAIエージェント「Rakuten AIris」を開発したと発表した。

  • Rakuten AIrisのイメージ

    Rakuten AIrisのイメージ

新技術は、約9700万の楽天IDとそれに基づく消費行動分析データなどのビッグデータをマーケティングソリューションで利用するため、楽天技術研究所や楽天のデータサイエンス部、広告事業ディビジョンが共同で開発したAIエージェント。

AIrisは、AI(人工知能)と英語で虹彩を意味する「Iris」を組み合わせた造語となり、機械学習を用いた独自のアルゴリズムで消費行動を解析することで、購買の見込みがあるユーザーを抽出できる「Target Prospecting機能」を備える。

同機能では、対象商品の購買実績があるユーザー層の属性データ、購買傾向、価格趣向、楽天グループサービス利用傾向など920項目のデータを分析してスコア化し、マッピングすることで、購買実績のないユーザー層の中から近い特性を持つユーザーを「購買見込みユーザー」として予測。これにより、広告配信において精度の高い拡張ターゲティングを行うことができるという。

また、同社ではRakuten AIrisのTarget Prospecting機能を活用した広告配信ソリューションとして「RMP - Customer Expansion」を提供開始。

これまで、広告配信における拡張ターゲティングはアクセスログデータのみによるものが主流だったが、同ソリューションでは楽天市場をはじめ、多様なEコマースサービスにおける購買データや楽天グループサービスの利用傾向など、量と質、多様性を兼ね備えたデータを解析することで、高精度な拡張ターゲティング配信を実現するという。

さらに、従来の拡張ターゲティング配信のようなオンラインのディスプレイ広告に加え、メール型広告やオフラインにおけるダイレクトメールの郵送、サンプリング施策など多様なチャネルの利用を可能としている。

先行して実施したテストでは、従来手法である類似製品の購買実績があるユーザー層に対する広告配信と比較し、広告を通じた購買率が5倍以上となったケースもあり、広告を受け取るユーザーにとっても実際の趣向に近い商品の広告を配信するため、これまでより有益な情報が広告を通じて得られるようになるという。

今後、ビッグデータを利用した多様な分析・マーケティング機能をさらに拡充することに加え、同ソリューションをはじめとしたテクノロジーを利用した多様なマーケティングソリューションの提供を通じて、広告主のマーケティング活動を支援していく方針だ。