ファミリーマートとAirbnbは5月21日、都内で記者会見を開き、全国のファミリーマート店舗を基軸とした日本における宿泊事業の普及・拡大や観光需要の創出を目指すことを目的とした業務提携について基本合意したと発表した。
今回、2020年には訪日外国人の旅行消費額は8兆円、地方部での外国人延宿泊数は7000万人泊が見込まれている。自国・目的・日本の渡航先が異なる多様な訪日外国人にとって便利で快適なもとのするため、両社は業務提携に基本合意した。
インバウンド需要を背景に訪日外国人の利便性と旅の楽しさの提供を目的に、ファミリーマートの知見とAirbnbの持つ知見を融合させることで、各店舗が多様な情報・サービスの発信地点となり、かつ宿泊施設提供者(ホスト)や宿泊者(ゲスト)がいつでも気軽に訪れる地域拠点となることを目的としている。今回の取り組みを通じ両社は地域に根差した宿泊市場を全国に普及させ、地域社会の発展に貢献していく考えだ。
ファミリーマート 代表取締役社長の澤田貴司氏は「今後、シェアリングエコノミーは大きく拡大していくことが見込まれ、提携により相互送客することを楽しみにしている。近年では『地域密着』を重要視しており、地域の利用客に貢献していくことに本気で取り組んでいる。そのような中で地域を理解した加盟店がAirbnbを使うことで多様な体験をしてもらいたい。そして、Airibnb利用者がコンビニを使えば互いに楽しいビジネスが展開できる。インバウンドは大きく成長が予測され、2020年には4400万人の訪日外国人客が想定されるほか、国内においてAirbnb利用者の増加も期待できることから、相互送客し、1人でも多くの利用客にAirbnbとファミリーマートの利用を促していきたい」と述べた。
ゲストが訪日外国人の場合の流れはこうだ。ホストが貸し出したい部屋をAirbnbのマーケットプレイスに登録し、鍵の受け渡しのために鍵ボックスのプラットフォームに利用申込みをした上でファミリーマートの店頭に設置する鍵ボックスに物件の鍵を預ける。
一方、ゲストはAirbnbのマーケットプレイスで部屋予約のリクエストを送り、交渉が成立した場合はホストから物件概要や場所、鍵の受け渡し手順、鍵の受け渡し場所などが記載されたメールが送付され、ゲストが日本に入国した際はホストから事前に送られたメールに則り、ファミリーマートに設置された鍵ボックスで鍵を受け取る。
ファミリーマート 新規事業開発本部付 部長の沼田美佐子氏は「このスキームで相互プロモーションを行い、ファミリーマート店舗がAirbnbのホスト・ゲストのハブになることがポイントだ」と説明した。
主な取り組みとしては(1)ファミリーマート店舗が安心・安全な鍵の受け渡し拠点、(2)Airbnb利用者のファミリーマート店舗誘導(Airbnb nabiやAirbnbMagへの情報掲載など)、(3)Airbnb利用者へのファミリーマート店舗での買い物促進(クーポン施策など)、(4)ファミリーマート店舗でのAirbnb認知向上・利用促進(Airbnbリーフレットの店頭設置など)の4点となる。
Airbnb Japanの代表取締役 田邊泰之氏は「われわれが目指しているのは、体験型の旅だ。地元の人と触れ合い、そこに暮らすような体験をしてもらうことをサポートしている。文化を知り、大好きになってもらうことで何回も来てもらうという結果が生まれている。単純に宿泊施設や体験を増やすのではなく、地元の人とタッグを組み、おもてなしを提供する人、地元を紹介する人たちの地元のコミュニティを形成している。地元、自治体と連携することが今後は重要となり、47都道府県で店舗展開しているファミリーマートとともに地元に貢献できるように努めたいと考えている」と話しており、ファミリーマートと同様に地域密着を強調していた。
現状では、東京や大阪など大都市圏4カ所で鍵の受け渡しの実証を行っており、2018年度は実施店舗を150店舗に拡大していく。
今後、両社は相互に連携し、多様な商品やサービスの開発・提供、マーケティング活動の推進により、宿泊事業の普及・拡大およびシェアリングエコノミーの発展を通じた地域経済の活性化を推進していく考えだ。
なお、Airbnbとコンビニエンスストアとの業務提携は国内初の取り組みとなり、具体的な取り組みは住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行される6月15日から順次開始する。