新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は4月20日、市街地における水素燃料100%のガスタービン発電による熱電供給を達成したと発表した。これは、大林組と川崎重工業による、19日と20日に実施した実証試験によるもの。

  • 水素100%時の運転状態を表す制御画面

    水素100%時の運転状態を表す制御画面

NEDOでは今まで、水素と天然ガスの混焼および水素専焼によるガスタービン発電機単独での実証や、天然ガスによる熱や電気供給の実証などを行ってきたが、今回、水素のみを燃料として近隣の病院やスポーツセンターなど4施設への熱や電気の同時供給を実現したという。

同成果は、昨年12月に完成した、1MW級水素ガスタービン発電設備「水素コジェネレーションシステム(水素CGS)」の実証プラントを用いた検証によるもの。実証試験では、中央市民病院とポートアイランドスポーツセンターの2施設に2800kWの熱を、これら2施設に加えて神戸国際展示場とポートアイランド処理場の合計4施設に合計1100kWの電力を供給し、水素のみでの実供給における各機器とシステムの性能を評価するとともに、システム全体が問題無く稼働することが確認されたという。

  • 実証試験システムイメージ

    実証試験システムイメージ

NEDOでは今後、季節ごとの各種データを取得することで、「電気」「熱」「水素」エネルギーの最適制御技術を実現し、地域コミュニティにおける効率的なエネルギー利用につながる新たなエネルギー供給システムの確立を目指すとしている。