セコムと同社のグループ会社で地理情報サービス事業を行うパスコは3月28日、野生鳥獣による農作物被害の減少に向けて、民間防犯用の自律型飛行監視ロボット「セコムドローン」を利用したシカ食害対策の実証実験を2018年4月に開始すると発表した。
農林水産省によると、2016年度における野生鳥獣の農作物被害は約172億円に達し、その範囲は山間地域や中山間地域に留まらず、都市部にまで及んでいる。その中でもシカによる被害は約56億円となり、柵を飛び越えたり、なぎ倒したりして田畑に侵入するため対策が難しく、全国的に農作物被害を与えているという。
セコムは、同社が防犯用として提供してきたセコムドローンの「侵入監視サービス」で培った技術を応用し、京都府農林水産技術センター農林センターの協力を受け、京都府南丹市日吉町の「STIHLの森 京都(府民の森ひよし)」において、シカによる食害対策の予備実験を2017年11月から12月にかけて計10日間行った。
侵入監視サービスは、契約先の敷地内に侵入者・侵入車両を発見すると対象の車や人に上空から接近し、車のナンバーや車種、ボディカラー、人の顔や身なりなどを撮影する。これを同社のコントロールセンターに画像を送信することで、不審車(者)の追跡・確保に役立てている。
予備実験では、監視区域内に侵入したシカをレーザーセンサーで検知し、その位置に向けて自動的に発進した完全自律飛行するセコムドローンが、シカを追跡して追い払うことができるかどうかを検証。
実験では一定の成果を確認できたことから、今後は起伏のある広範囲の監視区域を設定し、パスコの3次元地図データを活用して、さらに実用性を高めるための実証実験を行い、サービスの実現を目指す。