2月21日、幕張メッセで第1回目の「スポーツビジネス産業展」が開幕した。今回、筆者がピックアップしたブースの展示内容をお届けする。
現在、お隣の韓国・平昌では冬季五輪が開催されている。フィギュアスケートの羽生結弦選手や、スピードスケート女子500mの小平奈緒選手、同女子団体追い抜き(パシュート)で高木菜那選手、高木美帆選手、佐藤綾乃選手、菊池彩花選手が金メダルを獲得し、国内は大いに盛り上がった。
一方、日本では2019年にラグビーW杯の開催、2020年には東京五輪の開催と、世界的な一大スポーツイベントを控えている。選手の育成・強化に加え、画期的な観戦・運営方法などに取り組むスポーツ団体、企業は体制の整備が急務となっている。
スポーツビジネス産業展は「最新テクノロジーやITを活用したトレーニングやスカウティング」「スタジアムソリューション」「クラブ経営」「ファンサービス」「選手の育成」などを求めるプロスポーツ、トップリーグ、トップアスリートなどを対象に2月23日まで開催している。
キヤノンはカメラを活用したスタジアムソリューションを展示
最初に訪れたのがキヤノンのブースだ。同社は開発発表として「自由視点映像生成システム」、参考展示「映像空間ソリューション」、参考出展「小型モジュールカメラ MM100-WS」を展示していた。
まずは、自由視点映像生成システム。フィールド内を取り囲むようにスタジアムに設置した複数の高解像度カメラをネットワークでつなぎ、ソフトウェアでコントロールしながら同じタイミングで多方向から試合を撮影し、撮影後に独自の画像処理技術を用いて撮影画像から高精細な3D空間データを構築。
例えば、タブレットなどから3D空間で仮想カメラを動かし、俯瞰視点、選手視点で操作できるほか、選手の顔と体の向き、背番号選手名などを表示することが可能なため、さまざまな視点から好みの角度で映像を閲覧できる自由視点映像を生成する。
俯瞰・選手目線など通常カメラが入ることができない視点からの映像は、競技観戦の楽しみ方のみだけでなく、チームや選手の強化といった活用も期待され、スポーツ視聴やアーカイブ、分析、観戦など多様な用途を想定している。
同システムで作成した映像を観ていると、ただならぬ臨場感があり、とても合成映像とは思えない迫力があった。
同社ではYouTubeでも自由視点映像生成システムのオフィシャル映像をアップロードしているので、下記の動画で是非体験してもらいたい。
しかし、現状としては撮影後に3D空間データの編集作業に時間を要するため、作業時間の短縮や画質の向上が課題だという。
映像空間ソリューションの展示では3枚のディスプレイが目を引く。8Kカメラなどの入出力機器と画像処理技術を活用し、臨場感のある映像製作が可能としており、撮影した映像から3面を切り出し、独自技術で変換出力することで臨場感のある映像と音響でフィールドやステージのような空間を再現できる。
マルチカメラ撮影と比べて撮影時のハンドリングが容易であり、位置・同期ズレもなく編集でき、自由なカメラ・レンズワークも実現するという。また、多様な視聴環境に合わせたスクリーンレイアウトや曲面スクリーンへの最適変換も可能とし、スポーツ観戦、音楽ライブ、舞台・芸能、空間演出などへの用途が見込まれている。
小型モジュールカメラのMM100-WSは、サイズが40×40×21.6mm、重さ48gと小型ながら雨滴やホコリの侵入を防ぐ防塵・防滴、耐性ショック性能により設置場所を選ばない使い方を可能としている。
また、カメラ本体にWi-Fi機能を内蔵しており、スマートフォンで撮影画像の閲覧、カメラの遠隔操作などができるほか、効果APIを利用することで組込アプリの開発に活用できるという。ソリューション展開としては、スポーツなどモバイルライブ中継や/公共監視ソリューションなどでの引き合いがあるという。