東北大学は2月6日、量子速度限界の根本的起源が、量子力学特有の現象を引き起こす不確定性原理にはなく、さまざまな現象を記述する運動方程式に広く成立するものであることを明らかにしたと発表した。
同成果は、東京工業大学理学院の奥山真佳氏、東北大学大学院情報科学研究科応用情報科学専攻の大関真之 准教授らの研究グループによるもの。詳細は米国の学術誌「Physical Review Letters」に掲載された。
我々の身近な物理現象を記述するニュートン力学に対して、原子や分子などミクロなスケールにおいては量子力学という異なる原理が成立している。これは、不確定性原理と呼ばれるミクロなスケールにおいて発現する特性が量子力学の形成に関わっている。
この量子力学に従うミクロなスケールでの運動において、「量子速度限界」と呼ばれる制限が存在することが知られていた。この量子速度限界は長らく量子力学特有の現象であり、そういった運動の制限はミクロなスケールでのみ存在するものと信じられていた。
今回の研究では、量子力学の基本から見直すことで、量子速度限界の根本的起源が、量子力学特有の現象を引き起こす不確定性原理にはなく、さまざまな現象を記述する運動方程式に広く成立するものであることを明らかにした。その結果、マクロなスケールにおける集団現象の振る舞いを記述する多種の方程式においてさまざまな速度限界を発見したとしている。
今回の成果を受けて研究グループは、今回の成果をきっかけに、さまざまな運動に関係した普遍的な原理の解明が進むことが期待されるとしている。