スマートフォンメーカーとして日本市場での地位を築いたHuawei(ファーウェイ)。主事業は現在も通信事業者向けの無線・有線インフラ機器だが、成長の柱として打ち立てているのが法人向けのエンタープライズ事業だ。すでにサーバでは出荷台数ベースで世界3位。日本ではどのような成長戦略を描いているのか、ファーウェイ・ジャパンで法人ビジネス事業本部マーケティング本部長を務める張偉(チョウ・イ/Zhang Wei)氏に話を聞いた。
日本国内の外資系ストレージ・メーカー、サーバ・メーカー、日本のシステム・インテグレーターを経て、2016年4月にファーウェイ・ジャパンに入社。IT製品をはじめとする企業向けICTソリューションのマーケティングを統括する。
ファーウェイが無線インフラ事業、携帯端末事業に加え、3つ目の事業の柱とすべく法人向けのICTソリューション事業を立ち上げたのは2011年のことだ。日本ではその翌年の2012年に体制を構築した。
同社は2016年、グローバルで5215億7400万人民元(約8兆7311億円)を売り上げたが、内訳は通信事業者向けネットワーク事業が55.7%、次いでコンシューマー向け端末事業は34.5%で、法人向け事業はまだ7.8%だ。ただ、前年からの成長率は47%増となり、全体の成長率(前年比32%増)を上回るなど好調だ。
サーバ、ストレージなどのハードウェア領域は米国企業がすでに独占している分野だ。そこにあえて参入するのは、成長のために新しいビジネス領域が必要という本社の判断だ。
「ファーウェイは通信事業者(キャリア)向けで力をつけてきた。キャリアビジネスは特殊だったが、現在、キャリアとエンタープライズの融合というトレンドがあり、垣根がなくなってきている。ファーウェイは通信事業者向けビジネスで培ったノウハウをエンタープライズに展開することができる」と張氏は説明する。
それでも後発のハンデとして、知名度の低さがあることは認める。張氏も、「端末に比べると法人向け事業の知名度は高くない」と語ったが、「それでも少しずつ、評価をいただいている」と続ける。
顧客の中心は、サービスプロバイダやコンテンツプロバイダなど、主力の無線インフラ事業で関係を築いたインターネット企業の法人ビジネスだ。
「ファーウェイがデータセンター分野の製品も提供しているという認知が少しずつ上がってきている」と、同氏は国内でも法人ビジネスが着実に成長しているという認識を示した。