東北大学は、「産後うつ」の研究向けに、新たな妊婦用のスマートテキスタイル(スマートウェア)を開発したと発表した。同スマートウェアは、ユニオンツールのウェアラブル心拍センサと東洋紡のフィルム状導電素材が使われ、バイタル情報を取得できる。
このスマートテキスタイルは、東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)予防医学・疫学部門災害精神医学分野の富田博秋教授のグループと、ユニオンツール、東洋紡の共同開発グループによるもの。「産後うつ」や周産期のストレスに自身や周囲の人が気付いて早めに対応することは難しく、心拍測定に基づいた自律神経系計測が、ストレスやうつ状態の客観的評価の一助となる有効な手段と期待されている。しかし、日常生活における心拍などのバイタル情報の取得のためには電極を装着する必要がり、従来使用されていた体に貼り付けるタイプの電極ではべたつき感があるなど、日常生活での装着感に問題があった。
同開発グループは、ユニオンツールの「myBeat」ウェアラブル心拍センサと東洋紡のフィルム状導電素材「COCOMI」を使い、バイタル情報を取得できるスマートウェアを新たに開発した。「COCOMI」は、薄く伸縮性があり、体の動きに追随し、電極と配線を継ぎ目なく一体化できるため、自然な着心地のウエアラブルデバイスを実現するという。
また、同素材を使用した配線は電気抵抗値が低く、より精度の高い生体情報の収集が可能となる。スマートウェアの開発にあたっては妊婦の意見も取り入れ、着用しても圧迫感が小さく、着脱しやすいデザインにし、自然な装着感と測定精度を両立するよう設計した。同スマートウェアでは、「COCOMI」が心臓から発生する微弱な電気信号を体表面でとらえ、「myBeat」ウェアラブル心拍センサが、その信号を外部に発信することなく、心拍情報として機器内に記録する仕組みをとっているということだ。