東北大学は12月5日、勤労者男性を対象とした追跡調査を行い、2013年に厚生労働省が公表した「健康づくりのための身体活動基準 2013」で設定されている全身持久力の基準を数年間満たしていると、その後の2型糖尿病発症のリスクが低いことを明らかにしたと発表した。

同成果は、東北大学大学院医工学研究科の門間陽樹 助教と永富良一 教授(兼大学院医学系研究科)、東京ガス、医薬基盤・健康・栄養研究所の共同研究によるもの。詳細は国際科学誌「Journal of Epidemiology」(電子版)に掲載された。

血糖値を下げるホルモン(インスリン)の効きが悪くなる2型糖尿病を予防するためには、ランニングなどの運動によって全身持久力を高く保つことが有効であるとされている。どの程度高く保つ必要があるのかの1つの参考値として、2013年に厚生労働省が公表した「健康づくりのための身体活動基準 2013」で設定されている全身持久力の基準がある。

これまでに、全身持久力が基準未満だったグループは、基準以上だったグループと比較すると、その後の2型糖尿病の発症リスクが高いことが報告されている。しかし、どのくらいの期間において基準を達成すればよいのかについては明らかにされていなかった。

今回の研究では、追跡開始前に全身持久力を複数回測定した男性2235人を最大23年間の追跡を行った。その結果、継続的に全身持久力の基準を達成していなかったグループにおいて、2型糖尿病の発症リスクが高いことが明らかになった。

また、最初に測定した全身持久力が基準に到達しており、その後も継続的に到達していたグループと比較して、最初の全身持久力が基準に到達していなくても、その後、数年間で継続的に基準を達成するようになれば、2型糖尿病の発症リスクは対照群と同程度であることが明らかになった。

  • 2型糖尿病発症リスクに対する初回測定値と継続的達成度に基づく組み合わせ効果 (出所:東北大学Webサイト)

その一方、最初の全身持久力が基準以上であったにもかかわらず、その後、継続的に基準を達成できなかった場合は、対照群より高いリスクを示したものの、統計学的に違いがあると判断することはできなかったという。

これらのことから、一時的に基準を達成することよりも、継続的に達成することのほうが2型糖尿病の発症リスクに対して影響が大きいことが明らかになったと研究グループでは説明している。