横河電機とNTT西日本グループは、横河電機の産業用小型無線センサ「Sushi Sensor(スシセンサ)」をプラント設備に設置し、低消費電力で広範囲をカバーできるLoRaWANネットワークに接続する実証試験を共同で行うことを発表した。
企業のビジネスモデルや産業構造の在り方まで変える可能性のあるIoTは、プラントでも産業用IoTの活用による、新たな価値の創造が期待されている。横河電機は、産業用IoTの実現に向けて、コンプレッサー、ポンプ、モーターといったプラントにある設備の状態を、オンラインで遠隔監視するために必要なセンサと、収集したデータの分析や機械学習処理などを行うクラウドサービスの開発に取り組んでいる。
一方、西日本グループでは2016年6月より「LPWAネットワークを活用したフィールドトライアル」を開始し、さまざまな分野のパートナーとLPWAネットワークの活用シーン創出に取り組んでいる。
このたび両社は、産業用IoTを活用したプラントにおける新たな価値創りを目指し、横河電機が有する無線センサ技術とNTT西日本グル―プが有するLPWA技術(IoT/M2Mに適した、省電力・長距離の通信を実現する省電力広域無線通信のこと)を生かし、実証試験を実施することになった。
国内のプラントにある、コンプレッサー、ポンプ、モーターといった回転機などの設備に、横河電機が産業用IoT向けに開発した小型無線センサ「Sushi Sensor」を設置し、NTT西日本グループのLoRaWANネットワーク(世界500社以上のIoT関連企業・ユーザーが参画するIoT向け通信規格のひとつ)に接続して設備の状態を容易に監視する仕組みを構築する。
「Sushi Sensor」は、設備の状態を把握するために有効な振動や温度のデータを収集し、これらのデータをオンライン監視することで設備異常の早期発見や故障予知などのプラント保全に活かすことができるということだ。
主な役割は、横河電機が小型無線センサ「Sushi Sensor(R)」とクラウド環境を用いた、設備状態の監視システム構築。一方、NTT西日本グループでは西日本電信電話がプラント環境内におけるLoRaWANネットワークの電波強度の検証、およびそれに関わる技術・ノウハウの提供。エヌ・ティ・ティ ネオメイトがLoRaWANネットワークの構築・提供を行う。
無線センサとLoRaWANネットワークを活用することで、オンライン監視およびデータ蓄積が可能となり、運転員の経験と勘に依存しない適切な保守作業の実施、設備異常(予期しないシャットダウン等)の早期発見によるプラント稼働率の向上、収集データ分析による故障の早期回復といった効果が期待される。