2017年11月15日から17日にかけて、パシフィコ横浜にて開催されている最先端の組込技術/IoT技術にフォーカスした総合技術展「ET 2017」「IoT Technology 2017」において、アットマークテクノは2018年3月発売予定のArmadillo-440の上位互換モデル「Armadillo-640」を展示している。

Armadillo-640は、Armadillo-440の基板サイズおよびコネクタ配置を踏襲したシングルボード型モデルで、プロセッサとしては、NXP Semiconductorsのi.MX 6ULLを搭載(Cortex-A7(528MHz))。メモリもDDR3-800 512MBならびに4GBのeMMCを搭載することで、今後、本格的に進むであろうIoTの活用ニーズに十分に耐えられる仕様を実現している。

開発中の「Armadillo-640」のボード。前世代のArmadillo-440と比べて、その性能は劇的に向上している

また、同社ブースでは、第3世代Armadillo-IoTゲートウェイ「Armadillo-IoT G3」を用いた実験的なデモも複数見ることができる。例えば、2017年9月より東京リージョンで利用が可能になった「AWS Greengrass」を活用した植物工場の遠隔監視を模したデモでは、Armadillo-IoT G3をGreengrass Coreデバイスとして、工場内の温湿度・照度センサに接続。異常が発生したら(デモでは消灯)、スマートフォンにアラートが送られる、といった様子を確認することができる。同社では、自社のWebサイト上に、Armadillo-IoT G3へのGreengrass Coreのインストール手順などを、早ければ年内にも公開する予定だという。

「AWS Greengrass」を活用した植物工場の遠隔監視デモの様子。Armadillo-IoT G3に温湿度・照度センサを接続詞、工場内の電気が消えると、スマートフォンにアラートメールが送信される仕組みとなっている

さらに、Armadillo-IoT G3はタイとフィリピンでの機器認証を取得。これに伴い、同社はASEAN進出サポートの提供を開始したほか、会場では、Activioが提供するIoTゲートウェイを設置するだけで、イベント会場や店舗などで通行する人が持つWi-Fi端末のMACアドレスから、移動量や動線の解析を可能にする「Flow Line Tracker」と組み合わせた往来量の見える化デモが行われている。 Activioとは、9月1-3日にかけてタイのロイヤルパラゴンホールにて開催されたジャパンエキスポ2017(JAPAN EXPO IN THAILAND 2017)でも往来量の計測・導線解析を実施。タイではリース提供でゲートウェイ1台あたり月額6980THBから利用が可能となっている。今回のET会場では同社ブースのほか、日新システムズ、EMS-JP、ATP Electronicsの3社のブースにも同様のゲートウェイを設置させてもらい、どのブース近辺にどの程度の往来があるのかを時間別で表示するデモを見ることができる。

Armadillo-IoT G3を用いた展示会場内の動線解析の実証実験の様子。といっても、Armadillo-IoT G3を単体で設置しているだけで、ほかには何も接続する必要がない。仕組みとしては、ブースの前を通る人が所持しているWi-Fi端末(スマホの場合はWi-Fi機能がONになっている場合は対応)のMACアドレスの数をカウント、時系列での増減を表示している。機能としては、MACアドレスを元に、どこのブースからどこのブースに移動したか、といったことも把握できるそうだが、今回のデモでは、実証実験参加4ブース近辺の時間別の混雑状況を示すに留まっている

なお、同社は、「『もっと具体的に相談したい』に応えます」をテーマとした無料(事前登録制)のプライベートカンファレンス「Armadillo Premium Day」を2017年12月12日に東京・高田馬場の同社東京営業所にて開催する予定としており、Armadilloを活用した量産に対する相談などに細やかに対応を図っていくとしている。また同社は2017年11月に創業20周年を迎えたことなどの意味も含め、コーポレートロゴのリニューアルも実施。心機一転、新たなステージに向けた、技術活用の模索などを、今後も着実に進めていきたいとしていた。

アットマークテクノの新旧コーポレートロゴ。左が旧来のデザイン。右が新たなデザイン