リンクスは10月4日、オーストリアのオートメーションソフトウェア専業メーカーCOPA-DATAとの間に国内総代理店契約を締結したこと、ならびにSiemensの印刷検査装置部門に起源を持つ独Chromasensとも販売代理店契約を締結したことを発表した。
Inudstrial IoT(IIoT)の実現に向け、さまざまな産業機器のPLCがネットワークに接続され、互いに情報をやり取りしようとしている現在、システム監視とプロセス制御を行う「SCADA(Supervisory Control And Data Acquisition)」の役割も変化しようとしている。COPA-DATAは、そうしたSCADAや装置や設備に備え付けられたHMI(Human Machine Interface)に向けたユーザインタフェース(UI)をC言語などのプログラミング言語を用いずとも、複雑かつエレガントなものを作り上げることを可能とするソフトウェア「zenon」を提供してきた企業で、リンクスでは、今回の代理店契約締結により11月1日より、このzenonの国内向け販売を行っていくことになるという。
リンクスの目指すIIoT向けビジネスの階層構造。最下層の画像処理ならびに下から2層目のソフトウェアPLCまではすでに着手済み。今回のCOPA-DATAとの提携は、第3階層のSCADA部分に向けた取り組みとなり、その先には第4階層のコラボレーションゾーンがあり、ここについては大企業との連携などを進めることで、実現を目指すという |
今回の代理店契約締結についての説明を行うリンクスの村上代表取締役 |
zenonはUIの構築のみならず、MicrosoftのAzureと連携することで、装置のデータをさまざまなPLCから吸い上げ、それを表示、解析、レポートするといったことも可能となっており、リンクスでは、これによりIIoT分野での予兆保全や遠隔監視/遠隔制御、データシナジーといったことが容易に実現できるようになると説明する。リンクスの代表取締役である村上慶氏は、「最新のPLCから古いPLCまですべてをつなぐことができるのがzeonの強み。今、IIoTをやりたいという人には必要なソリューション」とし、どんなPLCでもzenonを活用することで接続が可能となるほか、工場外であっても、AzureのIoT Hubに接続することで、クラウド上からダッシュボードでさまざまな状況を把握したり、Azureの提供するディープラーニングを活用したり、といったことも可能になるとする。
また、言葉だけでは分かりづらいデータシナジーについて補足をしておくと、実はzenonは300以上のドライバ向け通信プロトコルをネイティブにサポートしているため、生産データのみならず、ガスや電力といったエネルギーデータも同時に取得することが可能といった特徴を有している。また、拡張性が高いことから、ステップバイステップでの投資で、段階的に対象範囲の拡大なども図っていくことができるという特徴も有しているという。
COPA-DATAのzenonは、Microsoft製品を基盤とした優れたソリューションやサービスを提供したパートナー様を表彰するアワード「Microsoft Partner of the Year Winner」の2017年のIoT Awardを受賞するなどの実績もある |
一方のChromasensだが、こちらはカラーラインスキャナ「allPIXA」シリーズ、3Dラインスキャンカメラ「3DPIXAシリーズ」、そしてマルチスペクトルラインスキャンカメラ「truePIXAシリーズ」の3つの産業向けカメラシリーズをラインアップ。通常のラインスキャナは高速性を売りにしているが、リンクスでは、その点以上に3D対応とスペクトラムカメラの性能に注目し、代理店契約を締結したとする。
中でも村上氏が「一番の興味」と語った3Dラインスキャンだが、「2次元では見えなかったものが3次元では見えるようになる。しかし、難しいのは、1つの3次元センサを使っても、あらゆる3次元データを取得することができない、という点。それぞれのターゲットとする規模(サイズ)によってソリューションが異なってくる」とし、同社としても、これまでステレオビジョン法、光切断方・位相シフト法、白色干渉法といった3次元カメラを提供してきたが、今回の契約により、それらを補完するマイクロステレオ法の3次元カメラを加えることができ、より幅広い分野への適用が可能になったとする。
その3DPIXAの性能としては、ラインスキャンとステレオビジョンを組み合わせて3次元計測を実現したシステムで、3Dデータとカラー画像を一度に取得できるため、画像の重ね合わせが可能なほか、Z方向0.35μmの精度とXY方向2.5μmの分解能を、最速30Hzのスキャンで実現できるため、微細な対象物も計測できるという特徴がある。そのため、適用分野としても、HDDのプラッタや、プリント基板のはんだペースト検査、半導体パッケージのワイヤボンディング検査、電子部品の検査、半導体ウェハの表面検査などをインラインで行うことが可能になるとしている。
また、truePIXAだが、こちらはマルチスペクトル・ラインスキャン方式のカメラで、4つのバンドパスフィルタレンズで可視光域中の特定色成分を抽出し、トライリニアセンサで撮像することで、12チャネル分のデータを1枚のカラー画像として1度に取得することが可能なシステム。これにより、表示色の色見を正確に把握することが可能になるとしており、新たな分野での検査や高精度検査ニーズへの対応が可能になるとしている。
なお、Chromasensの製品の詳細などについては、同社が10月17日~19日にかけて名古屋(17日)、東京(18日)、大阪(19日)の3都市を股にかけて開催する技術者向けセミナー「LINXDays 2017」にて紹介を行う予定だという。