島津製作所と量子科学技術研究開発機構 放射線医学総合研究所(放医研)、京都大学医学部附属病院は、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)プロジェクトのもとで連携して行なった乳房専用PET装置「Elmammo(エルマンモ)」の研究・開発について、産学官連携による活動の功績が評価され「第15回(平成29年度)産学官連携功労者表彰 厚生労働大臣賞」を受賞したと発表した。

同装置は、2014年に島津製作所が製品化したもので、被検者がうつ伏せになって検出器ホールに片胸を入れた状態でPET画像を撮像するため、マンモグラフィのような圧迫による痛みはともなわず、全身用PET装置と比較し約2倍の解像度、約10倍の感度で乳がんの検査を行うことができる。

(左)4層DO検出器 (右)検出の方式

2001年に放医研を中心として立ち上がった「次世代PETプロジェクト」において、放医研と島津製作所らは、深さ方向に4段階でガンマ線の検出位置を識別できる「4層DOI(Depth of Interaction)検出器」を開発した。この成果をもとにして2006年度から2009年度に実施されたNEDO助成事業プロジェクト「悪性腫瘍等治療支援分子イメージング機器の開発」では、早い段階から臨床医の意見を取り入れて「4層DOI検出器」の性能が生かせる乳房専用PET装置の開発に取り組んだ。

NEDOプロジェクト期間中には、京都大学医学部附属病院に「分子イメージング集中研究センター」を開設して臨床研究を進め、最終的に200人を超える被検者からの意見を募った。また、開発においては、「先端医療開発特区(スーパー特区)」の「イメージング技術が拓く革新的医療機器創出プロジェクト」も活用。こうした産学官連携により、女性にとって負担の少ない検査が可能な同装置の製品化を実現した。