新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、NEDO事業において、日立造船が固体酸化物形燃料電池(SOFC)を大阪産業技術研究所(ORIST)内に設置し、実証実験を行った結果、電気と熱を併せた総合エネルギー効率において、業界トップクラスとなる90%を達成したことを発表した。
NEDOは、業務・産業用燃料電池システムの実用化に向けた取組を進めてきた。助成先である日立造船が開発した、業務・産業用固体酸化物形燃料電池(SOFC)発電装置を、地方独立行政法人大阪産業技術研究所(ORIST)の和泉センターに設置し、6月より実証実験を開始した結果、電気と熱を併せた総合エネルギー効率において、業界トップクラスとなる90%(発電効率50%、熱回収効率40%)を達成した。
この装置は、メタンを主成分とする都市ガスを改質して得た水素を燃料とし、小型分散型電源でエネルギー効率が高く、省エネルギー性に優れたシステムであり、低騒音・低振動・CO2排出量削減の面で高い環境性が期待される。
今後、実負荷環境下で耐久性評価に必要な4,000時間の連続運転を行い、同装置の安全性や信頼性の評価を行う予定だという。また、今回実証したORISTに引き続き、大阪市の施設においても候補地を検討中で、別途、実証実験を実施する予定。
日立造船は、市場規模・採算性を考慮し、食品スーパー、コンビニ、オフィスビル、集合住宅などを対象にSOFC発電装置の2017年度の市場導入を目指している。また、トラックに搭載可能な形状であることを生かして、今後は災害時の非常用電源として活用を検討するということだ。