三菱日立パワーシステムズは、長崎工場で石炭ガス化複合発電(IGCC : Integrated coal Gasification Combined Cycle)プラントの主要設備を製作する「石炭ガス化炉工場」を完成させ、石炭ガス化炉の製造作業を開始した。
IGCCは、ガス化炉で石炭をガス化し、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた高効率のコンバインドサイクル方式で発電することで、従来の石炭焚き火力発電に比べ、発電効率を飛躍的に向上させ、CO2排出低減にも寄与する次世代の石炭火力発電システム。
石炭を効率良くガス化するためには、高温高圧の環境が必要であり、石炭ガス化炉は、高温に耐えうるガス化装置と、それを高圧にするための圧力容器から構成される。石炭ガス化炉工場では、高温高圧に対応した製品を製作するために、従来の石炭焚き火力発電向けボイラー製造により培った溶接などの要素技術に加え、新たに独自開発された自動溶接装置、ITを駆使した生産方式が導入されている。
今回製造が開始された石炭ガス化炉は、工期短縮を目的に、輸送できる最大重量までモジュール化(ガス化装置と圧力容器の一体化)した後、建設現地へ輸送し、据え付け工事が行われる。同工場の完成により、IGCCの一貫生産体制が長崎工場に構築されたということだ。
また、この石炭ガス化炉は、勿来IGCCパワー合同会社が福島県いわき市で建設している出力54万kWのIGCC施設向けで、2018年6月から順次出荷する計画。なお、勿来IGCCパワー合同会社は、三菱商事パワー、三菱重工業、三菱電機、東京電力ホールディングス、常磐共同火力の5社が出資している会社となっている。