昨今、企業の経営幹部が直接ソーシャルメディアで発言することが増え、その発言自体が株価に影響するなど、CEOのソーシャルメディアが注目されている。しかし、CEO自体が多忙、ソーシャルメディアの活用のROIが見えづらい、あるいはSNSのベストプラクティスがわからないといった声から、利用を見送る例も少なくない。
ビジネス最適化プラットフォームを提供するDomoとCEO.comは、フォーチュン500のCEOによるソーシャルメディア利用習慣に関する調査「2016 Social CEO Report」を行い、その結果を発表した。
今年で第5回目の実施となる同調査によると、フォーチュン500のCEOによるソーシャルメディア利用は、過去5年で増加傾向にあるものの、2016年は伸びが鈍化したことが分かった。しかし、2016年にフォーチュン500のCEOの75人が役職交代したが、新しいリーダーに代わっても、今回の調査結果に大きな変化はなかったという。
フォーチュン500のCEOのうち、2016年に6つの主要なソーシャルネットワーク(Twitter、Facebook、Google+、Instagram、LinkedIn、YouTube)のいずれかを利用していると回答した人の割合は、2015年と比較してわずかに増加したものの、依然40%にとどまっている。フォーチュン500のCEOで、ソーシャルメディアを利用している人のうち、複数のチャネルを利用している人は69人だったが、3つ以上を利用している人はたった15人であった。
また、フォーチュン500のCEOのうち、Facebookページを持っているのはわずか40人(8%)で、2015年の57人から減少となった。そのうち32人は2016年の第4四半期にFacebookを利用していなかった。2016年にMicrosoftが262億ドルで買収したLinkedInは、引き続きフォーチュン500のCEOの間では、ソーシャルメディアへの「入口」として好まれており、LinkedInのInfluencerプログラムは、ソーシャルメディアを多用しているリーダーたちの間で人気が高くなっている。これらのうち、2016年にLinkedInを使用した人の割合は、2015年から3%増加し、35%になった。
フォーチュン500のCEOのうち、Twitterアカウントを持っているのは36人と少ないが、チャネルとしては最も利用頻度が高くなっている。このグループのうち、Twitterを定期的に利用している人の割合は、昨年が62%だったが、2016年は70%に増加した。フォーチュン500のCEOの間では、InstagramとGoogle+はあまり利用されていないが、2015年以降、利用者は少しずつ増加しているという。
2016年には新しい動画チャネルが登場している。YouTube以外に、Facebook Live、LinkedIn Influencerの動画、TwitterのPeriscopeがソーシャルビデオプラットフォームに加わった。一方、Twitterが運営していたVineが2016年に終了した。これらのチャネルは、企業のマーケティング部門やそのエグゼクティブが利用していたが、フォーチュン500のCEOはアカウントを持っていないことが多いようだ。
興味深い結果として、Expediaのダラ・コスロシャヒ氏は、フォーチュン500のCEOの中でただひとり、5つのソーシャルネットワークを利用している。また、Twitterのフォロワー数が最も多かったのは、Appleのティム・クック氏で、投資家のウォーレン・バフェット氏や、Salesforceのマーク・ベニオフ氏のフォロワー数を上回っていることが分かった。さらに、フォーチュン500のCEOのうち、自社のYouTubeチャネルに登場している人の割合は40%超も存在した。
業界別に見ると、ソーシャルチャネルを最も多用していたのは、テクノロジー、小売、メディア、エンターテインメント業界の経営幹部であった。
これらの結果に対し、Domoの創業者兼CEOのジャシュ・ジェイムズは、「ソーシャルメディアは、ビジネスリーダーにとって単なる個人や企業のブランディング手段ではなく、一般社会の声に耳を傾け、企業とその顧客に影響を及ぼす重要課題への対処を可能にする手段である。ソーシャルプラットフォームは大きな影響力を持っている。私はCEOたちに『今すぐこのソーシャルの世界に飛び込むことをお勧めしたい』と思っている」と述べている。