Microsoftは6月1日(現地時間)、AI(人工知能)技術を利用した深層学習ツールキット「Microsoft Cognitive Toolkit」の最新版を公開したことを、公式ブログで発表した。旧称「CNTK」から改名し、バージョンアップしたMicrosoft Cognitive Toolkit 2.0は、深層学習に取り組んでいる開発者に人気のニューラルネットワークライブラリー「Keras」をサポートしている。同社は「Keras用コードに手を加えることなく、Microsoft Cognitive Toolkitでもパフォーマンスとスピードを維持できる」と述べている。また、モデル評価に用いるJava言語バインディングや、リソース制約のあるデバイスでも訓練済みモデルをリアルタイムで実行するツールが含まれる。

米国のチェサピーク湾管理委員会はMicrosoft Cognitive Toolkitを使用し、湾全体の復元と保護を目的に、ニューラルネットワークの定義と訓練を行っている(画像はすべて公式ブログより抜粋)

Microsoft Cognitive Toolkitの事例としてMicrosoftは、チェサピーク湾管理委員会の取り組みを紹介した。同委員会はMicrosoftの研究者と協力して、約64,000平方マイルにおよぶチェサピーク湾全体の復旧と保護活動を目的に土地被覆データを作成し、ニューラルネットワークの訓練を行っている。同社はAIを使用しない場合、数カ月にもおよぶデータ入力と画像処理が必要だったが、ニューラルネットワークを利用すると短時間で同様の地図を作成し、ワークフローを圧縮できるとアピールした。

デルマーバ半島にあるナンティコック川の流域は、5万エーカー以上の干潟湿地を含む。チェサピーク湾管理委員会はこの流域保護にAIを利用している

Microsoft Cognitive Toolkitは、NVIDIA Volunteerのような深層学習SDKやGPU構造の最新版をサポートし、オープンソースライセンスを介して広く公開している。

阿久津良和(Cactus)