ルネサス エレクトロニクスは、同社のエンジニア向け開発キット「R-Carスタータキット」が、Linuxベースの車載情報機器のオープンソースプロジェクト「Automotive Grade Linux(AGL)」のソフトウェア開発用標準リファレンスプラットフォームのひとつに採用されたことを発表した。
これにより、AGLプロジェクトが開発したソフトウェアを動かすハードウェア環境を容易に入手可能となり、コネクテッドカー時代に向けて、IVI(In-Vehicle Infotainment)用アプリケーションソフトウェアを、敏速かつ容易に開発できるようになる。
R-Carスタータキットは、すでに同プロジェクトが今年1月にリリースしたLinuxのUnified Code Base(UCB) 3.0に対応しており、64ビットソフトウェア環境のため、従来の32ビット環境に比べて、コンテナ技術(アプリケーションを必要となる実行環境と組み合わせた状態でシステムに導入させる仮想化技術)など、最新のIT向けソリューションを車載向けへシームレスに応用できる最新の開発環境となる。
また、7月には、「R-Car スタータキット」と組み合わせて使用するIVI 開発用拡張ボード2種類(シマフジ電機製)が発売予定となっている。拡張ボードのスタンダードモデルにはマルチディスプレイや各種ネットワーク用インタフェースが搭載され、アドバンスドモデルには最大8チャンネルのカメラ入力や、高速/大容量のストレージを拡張できるインタフェースが装備されているという。
ユーザーは、これらの新しいソフトウェア開発環境プラットフォームと、IVI開発に最適化された拡張ボードにより、IVI用車載ソフトウェア開発環境を容易に整備できるという。また、ルネサス製の無償ライブラリや190社以上のR-Carコンソーシアムのエコシステムによるサポートとも合わせて、IVI用アプリケーションソフトウェアの早期開発とコスト低減を実現するとしている。
なお、同社は、5月31日から東京コンファレンスセンターにて開催される「Automotive Linux Summit (ALS)」に参加し、この最新AGL開発環境を展示するのに加えて、クラウドITサービスと連携したコネクテッドカー用コクピットコンセプトのデモンストレーションを行う予定とのことだ。