情報通信研究機構(NICT)ソーシャルイノベーション推進研究室は5月23日、アサヒ飲料と共同で、「交通安全」「観光」などのリアルタイムな地域情報をマルチホップ中継しながら発信もできるIoT対応の「見守り自販機」の実証実験を、墨田区を中心としたエリアで6月から順次実施すると発表した。

墨田区内に設置しているアサヒ飲料の自動販売機の中の約100台にIoT無線ルータを搭載し、自動販売機が無線による情報中継拠点ないしは情報発信拠点となる地域ネットワークを構築。その上で、ある自動販売機の近隣で発信された無線センサーやビーコン端末からの情報が、自動販売機ネットワークによって離れた場所でもスマートフォンなどで受信可能かを検証する。

「見守り自販機」の実証実験のイメージ

NICTは、2016年度にWi-SUN、Wi-Fi、BLEを融合活用するビーコン通信型地域IoT無線サービスプラットフォームを開発し、今回、アサヒ飲料の協力を得ることで、実際の自動販売機拠点を活用した地域IoT無線ネットワークの構築とフィールド実証実験が可能になったという。

ビーコン通信型地域IoT無線サービスプラットフォームを使ったサービスのイメージ

基礎実証実験では、IoT対応自動販売機に設置予定のIoT無線ルータ99台を使って、IEEE802.15.10を用いたWi-SUNによる無線メッシュネットワークを屋内環境に構築し、1台のIoT無線ルータが受信したセンサー情報が他の98台のIoT無線ルータすべてに転送される動作(同報動作)を確認したという。

Wi-SUN/Wi-Fi/BLE融合IoT無線ルータを搭載した飲料自動販売機(メッシュネットワーク対応)

今回の実証実験では、飲料自動販売機および飲料補充車両・タクシーにIoT無線ルータを設置し、地域に構成可能なIoT無線サービスエリアを検証するとともに、IoT無線サービスエリアで、業務をしながら見守りや子供飛び出し(交通安全)に関わる注意喚起サービス、タクシー事業者のための乗客発見支援サービス等の実用性を検証する。

ビーコン端末と取り付けイメージ