Microsoftは11日(以下すべて現地時間)、WSL(Windows Subsystem for Linux)の互換性情報をまとめた記事を公式ブログに公開した。WSLはUnixやLinuxなどのコマンドラインツールとの互換性を改善するため、Linuxカーネルのシステムコールと、ファイルシステムインターフェースを検証するLTPを用いている。

互換性テストの結果(同社ブログより)

Anniversary Updateにおけるシステムコールテストは、パスが637件、エラーが280件、スキップが144件で合格率は69.45%。ファイルシステムテストはパスが20件、エラーが41件で合格率は32.8%。Creators Updateにおけるシステムコールテストは、パスが744件、エラーが93件、未実装が171件、スキップが102件で合格率は73.81%へ上昇した(未実装を含まない場合は88.88%)。ファイルシステムテストもパスが52件、エラーが9件で合格率は85.24%。エラーの大半はWSLがrt_sigqueueinfoシステムコールを未サポートのためである。

MicrosoftはLTPが万能ではないとの理由で、実際の運用を想定したシナリオテストに範囲を広げた。さまざまなOSS(オープンソースソフトウェア)を使って検証したところ、Webアプリケーション基盤である「Rails」のバージョン5.0.0.1は、WSLパス率は100%、ネイティブパス率は99.99%と実機を上回る結果を見せている。他方でpythonのパッケージ管理システム「PIP」はWSL、実機共に99.57%という結果に。同社は「これらのテストがすべてはない。今後はより自動化したテストを繰り返すことで、(WSLが対応する)リストの数を増やしていく」と、WSLが念頭に掲げている「仮想マシンを必要とせず、*nixシステムと同じコマンドライン開発環境の提供」に着々と進めている。

阿久津良和(Cactus)